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大津で琵琶湖の漁師体験から生まれた作品展 刺しゅうや油絵など

琵琶湖の漁師の駒井健也さん、杉本奈月さん、Pom Zyquitaさん、武雄文子さん(写真左から)

琵琶湖の漁師の駒井健也さん、杉本奈月さん、Pom Zyquitaさん、武雄文子さん(写真左から)

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 漁師体験をした芸術家の作品展「BIWAKOアーティスト・イン・レジデンス 漁師と芸術家-なみとしまのあわいで-」が現在、滋賀県立美術館(大津市瀬田南大萱町)で開催されている。

BIWAKOアーティスト・イン・レジデンスに参加した芸術家の作品

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 同美術館内にある「Lab」に、2024年9月に刺し網漁とセタシジミの漁師体験をした画家の植田陽貴さん、劇作家の杉本奈月/N2さん、刺しゅう作家のPom Zyquita(ポム ジキータ)さん、立体作家の犬人のに(いぬなのに)さんの4人の作品を展示している。

 植田さんは風の強い日に漁船で沖に出た時の記憶から「波の間、風の声」というタイトルの3枚組の油絵を描いた。杉本さんは「琵琶湖の夜の色」を表現した板の上にタテボシ貝の貝殻を乗せ、スピーカーをつなげ、貝殻を通して出る音の波形をプロジェクターで映し出す作品「無響室」を作った。Pom Zyquitaさんは刺しゅう作品と油絵「湖底伝説」を、犬人のにさんは新聞紙で作ったビワコオオナマズを出品。

 「BIWAKOアーティスト・イン・レジデンス」は、琵琶湖の漁師、駒井健也さんと版画家の松元悠さんが始めたプロジェクトで、芸術家が琵琶湖で漁師体験を行って作品を作り展示する。

 松元さんが2020年、琵琶湖の漁に興味を持ち、駒井さんの漁を手伝い、リトグラフ作品「里湖源五郎鮒物語」を制作したことがきっかけ。2022年から一般に参加者を募り、毎年開催している。今年は長期滞在できる場所も用意し、Pom Zyquitaさんは約1カ月滞在して作品を制作した。

 2022年に参加した版画家の武雄文子さんは、琵琶湖で1000年以上受け継がれている伝統漁法「エリ漁」に魅力を感じ、作品を作り続けている。武雄さんは「琵琶湖から突き出た杭は、自然に受け入れられている雰囲気を醸し出しているが、明らかに人工物なのが面白い。夜明け前、漁の船に乗ると、真っ暗な琵琶湖に不安になるが、夜が明け始めると、エリの黒いシルエットが見えて、自分の立ち位置がはっきりする。私にとってのエリの存在を作品にしている。エリ漁は描き続けたいモチーフ」と話す。今回の展示では、武雄さんが作り続けた、エリ漁をモチーフとした作品も展示している。

 武雄さんは運営として関わり、現在はプロジェクト代表を務めている。武雄さんは「琵琶湖の漁という同じ経験をした人から、全く違う作品が生まれてくるのが面白い」と話す。

 駒井さんは「湖の原風景を残したいという漁師の思いと、琵琶湖の仕事を体験して生まれる作品を作りたいという芸術家の思いから始まった。作品を通して琵琶湖ならではの漁業、暮らしなどを感じてもらえたら」と呼びかける。

 2月1日には太陽光で写真をプリントするワークショップ「光で描く琵琶湖~サイアノタイプ体験」を、2月2日には駒井さんと作家4人のトークセッションを行う。

 開催時間は9時30分~17時(最終日は16時まで)。2月2日まで。

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