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立命館守山高校でAI活用授業 生徒が「英語が苦手なAI」に英語を教える

AIに英語を教える生徒

AIに英語を教える生徒

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 AIを活用した英語の授業「育てるAI活用」が7月17日、立命館守山高校(守山市三宅町)で公開された。

AIの解答を見て話し合う生徒たち

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 文部科学省「AI活用による英語教育強化事業」に採択されている同授業。理解度の確認や説明力を向上させるためのツールとして機能が制限されたAIを活用する。AIから英語を学ばず、生徒がAIに英語を教える。

 17日の授業では、立命館大学が開発した生成AIアプリ「育てるAI」を活用して、同校グローバルサイエンスコース3年の生徒35人が「英語が苦手なクラスメイトに見立てた生成AI」に英語の文法を教えた。生徒が英語の関係副詞について自分が知っている知識をAIに教えると、AIは、教えられた知識のみで穴埋めテストに解答。AIの解答にはどこで迷って間違えたかが示され、AIが生徒の教え方を採点した。生徒は基本的な知識だけでなく、例文と日本語訳を入力するなどしてAIが満点を取れるように工夫していた。

 同校3年の浅田凜花さんは「AIの解答の疑問点を見て、何が足りないか考えて再入力したら正解率が上がったが、例文が複雑だと混乱を招いて正解率が下がることもあったので、例文をシンプルにしてやり直した。関係副詞はいつも何気なく使っていたが、AIに教えることで理解が深まり、知らないことも多かったのだと気付いた。英語の授業だけでなく、AIの相談に乗ることで自分の意見や考え方を言語化するのにも役立つのではないか」と話す。

 同校英語教諭の山内優馬さんは「学習定着率が一番高いのは人に教えることだが、生徒同士で教え合うと知識のばらつきが生まれることもある。AIなら教えた内容を教師が確認できるのでその心配もない。授業で学んだことをAIに教えることで主体的な学びになる」と話す。

 アプリ開発は、立命館大学生命科学部教授で英語教育を専門とする山中司さんが中心となり、情報理工学部4年の中井勇希さんがプロトタイプを制作した。

 「今回の授業で、みんなが本当の意味で英語を理解できていなかったことが分かった。AIが厳密に知識を判定してくれるので、もっと完璧に理解したいと思うモチベーションになれば」と山中さん。「育てるAIアプリについては、現在は限られた文法を覚えていく機能のみだが、いずれはAIにゼロから英語を教えるアプリにしたい。その方が、AIに愛着が湧きもっと育てたくなるだろう。教育の現場にとって有意義なアプリにしたい。AIを使いながら生徒自身の英語力を上げていければ」と意欲を見せる。

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