見る・遊ぶ 学ぶ・知る

野洲市歴史民俗博物館で竹工芸作家杉田静山さん作品展 初期の作品も

杉田静山さんの作品と妻の昭子さん

杉田静山さんの作品と妻の昭子さん

  • 5

  •  

 「竹工芸作家 杉田静山(じょうざん)の世界-美へのまなざし-」が現在、野洲市歴史民俗博物館(野洲市辻町)で開催されている。

「春男」の銘が入った初期の作品

[広告]

 杉田静山さんは12歳の時に病気で聴力を失い、13歳で野洲市に移り住み、野洲川の竹を使った竹細工と出合う。独学で竹籠を作り、1969(昭和44)年に日展に初入選。1973(昭和48)年には日本伝統工芸展に初入選した。滋賀県指定無形文化財「竹工芸」に認定され、旭日双光章も受賞した。作品を販売することはなく、2017(平成29)年に亡くなるまでに制作した作品は約100点。そのうち38点が同館に寄贈されている。

 作品展では、2024年に杉田さんの妻、昭子さんから同館に新たに寄贈された6点を中心に同館所蔵の16点を展示。日本伝統工芸会近畿支部展に入選した「松葉編(あみ)花籠」などのほか、本名の「春男」の銘がある1952(昭和27)年に作られた「櫛(くし)目しだれ組編」や1973(昭和48)年作の花籠「波の音」など、初期の作品も展示している。

 昭子さんは「工房に置いておくよりも、夫が一生懸命作った籠を皆さんに見てもらった方が夫も喜ぶだろうと寄贈した」と話す。

 2006(平成18)年に制作された映像「滋賀県指定文化財保持者 竹工芸 杉山静山~その技と心~」も上映している。昭子さんは「ビデオで若い時の夫を見ることができてうれしい。映像がなければ、夢の中でしか会えない」と喜ぶ。

 同館学芸員の齊藤慶一さんは「静山の作品は、1970年代を境に前衛的な物から伝統工芸へと変化している。作風の変化にも注目してもらえれば」と呼びかける。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース