草津の滋賀県立琵琶湖博物館(草津市下物町)は5月、広く県民にも呼び掛かけ、県内に生息するタニシ類の調査を始めた。農作物に食害をもたらす外来種「スクミリンゴガイ」(通称ジャンボタニシ)の分布状況などを把握することが目的。
同館はこうした調査のため開館翌年の1997年から「琵琶湖博物館フィールドレポーター」の取り組みを開始。事前登録した一般市民が、「地域学芸員」のような位置付けで県内の自然や暮らしなどを調査し報告する仕組みで、現在小学生から高齢者まで幅広い年代の100人余りが登録している。今回の調査では、同レポーターが主役となるが、広く分布状況を把握するため一般市民の参加も呼び掛かける。
「スクミリンゴガイ」は1981(昭和56)年、食用を目的に日本へ持ち込まれた南米原産巻き貝の一種。市場に流通することなく養殖場から放棄された結果、現在では関東以南で広く生息が確認され、滋賀県では1986(昭和61)年に野洲町(当時)で確認されて以来、県内各地に分布している。
生息環境は在来タニシ類などの貝類と競合するとされ、ブラックバスやブルーギル同様生態系への悪影響が懸念されているほか、稲、レンコン、イグサなど農作物への食害もあることから、県の指定外来種に指定されている。
同館担当者は「少しでも多くの人に参加してもらい、県内各地の現状を把握したい」と話す。
調査は7月31日まで。参加申し込み、問い合わせは琵琶湖博物館フィールドレポーター「タニシ調査」係(TEL 077-568-4811)まで。