特集

大津百町百福物語 Vol.11 「亀屋廣房 ふやき煎餅 近江八景」

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大津市の「大津百町百福物語」は2015(平成27)年に大津商工会議所が始めた特産品の認定制度です。現在までに53点が認定を受けています。

大津が生み出した素材、歴史、文化、技術などに深く関わりを持つものを中心に、「高い品質である」と認められた食品と工芸品を大津商工会議所が「大津百町百福物語」ブランドとして認定しています。

びわ湖大津経済新聞では、地元で愛される「大津百町百福物語」認定商品に携わる人にスポットを当て、特集記事を公開していきます。

近江八景を和菓子で

第11回は亀屋廣房(かめやひろふさ)の「ふやき煎餅 近江八景」です。小判型のふやき煎餅を琵琶湖に見立てて、近江八景の焼き印を押し、砂糖でさざ波を表現。「ふやき煎餅」は麩(ふ)のように軽いことから名付けられましたが、麩ではなく、もち米で作ります。亀屋廣房のふやき煎餅は近江羽二重もち米を100%使い、赤みそと白みそを練り込んで焼き上げます。

同店の黄瀬桃子さんは「混ざり物がないのでさくっとした食感で、口溶けがいいのが特徴」と話します。

近江八景は、中国の「瀟湘(しょうしょう)八景図」になぞらえて琵琶湖岸の8カ所の景勝地を選定したもので、歌川広重の浮世絵にも描かれています。比良の暮雪(ぼせつ)、堅田の落雁、唐崎の夜雨、三井の晩鐘(ばんしょう)、矢橋(やばせ)の帰帆、粟津(あわづ)の晴嵐(せいらん)、石山の秋月、瀬田の夕照(せきしょう)の八カ所で、膳所城から見た風景だと言われています。

亀屋廣房は、京都の和菓子店「亀末廣(かめすえひろ)」の別家として1941(昭和16)年に膳所に店を構えました。地元の膳所と関係の深い近江八景を和菓子で表現しています。黄瀬さんは「全て手仕事なので大量には作れませんが、近江八景の景色を残していきたいです。包装紙の絵と焼き印を見比べて味わってほしい」と話します。

 

大津の歴史を感じる和菓子

近江八景のほかにも、紫式部が源氏物語の構想を練ったとされる石山寺の「源氏の間」の窓の形をした干菓子「源氏窓」や、粟津が原の合戦で討ち死にした今井兼平の武勇を称えて旧東海道三軒茶屋で提供していた菓子を再現した「兼平餅」など、大津の歴史を表現する和菓子を提供しています。

黄瀬さんは「旧東海道に面しているので、旧東海道を何年もかけて歩き、兼平餅を買い求める人もいます」と話します。

店内ではコーヒーや抹茶などと一緒に和菓子を味わえる「和カフェ」も。旧東海道を歩いて旅する途中に休憩する人もいるそうです。

大津の歴史を感じることができる和菓子店です。

亀屋廣房(かめやひろふさ)

大津市本丸町3-7

077-522-3927

営業時間 10時~15時

日曜・祝日定休

 

取材・文=山中輝子

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