大津が生み出した素材、歴史、文化、技術などに深く関わりを持つものを中心に「高い品質である」と認められた食品と工芸品を大津商工会議所が「大津百町百福物語」ブランドとして認定しています。2015(平成27)年に大津商工会議所が始め、現在までに53点が認定を受けています。
びわ湖大津経済新聞では、地元で愛される「大津百町百福物語」認定商品に携わる人にスポットを当て、特集記事を公開していきます。
食品ロスを削減するドライフルーツ
第19回は大津ナカマチ商店街の真ん中、菱屋町商店街にある丸二果物店(大津市長等2)の「果物屋が本気で作ったドライフルーツ」です。
季節の果物と一緒に店頭に並ぶのは国産のイチゴやミカン、キウイなどのドライフルーツ。季節によってはナシ、モモ、スイカ、カキなどのドライフルーツも並びます。
丸二果物店は大正元(1912)年創業。創業100年目を迎えた2011(平成23)年、ドライフルーツを作り始めました。同店ドライフルーツ部の寺田みどりさんは「傷がある果物や熟しすぎた果物は、おいしいのに売れない。もったいないと思ってドライフルーツを作ることにしました」と振り返ります。
添加物も砂糖も使わず、スライスした果物を食品乾燥機に入れ乾燥させて作るドライフルーツは、「果物のうまみが凝縮されて味が濃くなり、果物本来の味を楽しめる」と話す寺田さん。ミカンやリンゴ、スイカも皮ごと食べられます。
寺田さんは「皮と実の間が一番おいしいのに皮をむいてしまうとその部分が食べられない。ドライフルーツは皮ごと食べられ、食品ロスにもつながります」と話します。
その取り組みが評価され、2021年には滋賀県食品ロス削減優良取組表彰も受賞しました。
手軽に果物を
「果物屋が本気で作ったドライフルーツ」は、東京で行われた商談会がきっかけで東京や横浜、神戸、京都などでも販売されています。寺田さんは「皮ごと食べられてごみが出ず、持ち歩いて手軽に食べられることから、ビジネスマンが多い都会で人気が出ました。子どものおやつにする人やヨーグルトに入れて食べる人、日本酒に入れて食べる人もいるそうです。私も知らなかった食べ方を皆さんに教えてもらっています」と笑顔を見せます。
2017(平成29)年、滋賀県のアンテナショップ「ここ滋賀」(東京都中央区)での販売をきっかけに、滋賀県産の和紅茶とドライフルーツミックスがセットになった「フルーツティーセット」も作りました。国産のリンゴ、ミカン、イチゴなどのドライフルーツとティーバッグをポットに入れ、お湯を注ぐとフルーツティーを手軽に味わえます。
毎月第1土曜にナカマチ商店街で開催されている「大津100円商店街」。12月2日にはドライフルーツで作ったクリスマスリースも販売します。
フルーツパフェにもドライフルーツ
丸二果物店は、市場から仕入れた新鮮な季節の果物の販売のほか、生搾りジュースやフルーツサンド、フルーツパフェも提供しています。
シャインマスカットやメロンなどの季節のフルーツにクッキーとドライフルーツをのせたパフェは600円。寺田さんは「いらないものを省いて、自分が食べたいものだけを入れたパフェ。ドライフルーツも自分が食べてみておいしいと思った果物だけを使っています。果物は実になるまでに時間がかかっているので、余すところなく使いたい」と話します。
「果物屋が本気で作ったドライフルーツ」は、大津駅観光案内所(大津市春日町)、黒壁AMISU(長浜市)、有隣堂 ルミネ横浜店、ららぽーと豊洲店、ここ滋賀、ホホホ座三条大橋店のほか、ネットで扱っています。
丸ニ果実店 http://maruni-otsu.co.jp/
丸二果物店公式ストア https://maruni.official.ec/
滋賀県大津市長等2‐10‐7
077-526-0444
営業時間 販売9時~18時
喫茶11時~15時50分※火曜はテイクアウトのみ
水曜定休
取材・文=山中輝子