大津が生み出した素材、歴史、文化、技術などに深く関わりを持つものを中心に「高い品質である」と認められた食品と工芸品を大津商工会議所が「大津百町百福物語」ブランドとして認定しています。
2015(平成27)年に大津商工会議所が始め、現在までに53点が認定を受けています。
びわ湖大津経済新聞では、地元で愛される「大津百町百福物語」認定商品に携わる人にスポットを当て、特集記事を公開していきます。
近江牛のジューシーさを感じるおこわ蒸し
第20回は近江懐石 清元の「近江牛冷凍おこわ蒸し」です。近江羽二重餅米と滋賀県産こしひかりを混ぜもちもちとした食感を出したおこわに、スライスした近江牛をしょうゆと砂糖、日本酒で煮込んだ近江牛しぐれ煮に錦糸卵をのせて蒸し、作りたてを急速冷凍しています。
近江懐石 清元を運営する清元楼の社長清本健次さんは「おこわの中に実山椒(みざんしょう)を入れているので、肉と絡むときに相性がいい。急速冷凍しているので近江牛のジューシーさが残っている」と話します。
料理旅館から懐石料理店へ
店の始まりは約120年前。堅田港のほとりで初代の清本浅太郎さんが始めた川魚料理店「清元楼」でした。2代目の信太郎さんの時に雄琴温泉に移転し、料理旅館としてスタートします。
5代目の健次さんが「京料理まる多」で修業し、京料理を学び、2005(平成17)年に懐石料理専門店「近江懐石 清元」としてリニューアルオープン。健次さんは「料理で勝負したいという思いと、お客さんと近い目線で料理をしたいという思いがあり、料理店にしました」と振り返ります。
「清元」では、京料理を通して習得した技能を、近江牛や琵琶湖の魚、滋賀県産野菜、発酵食品、ジビエなど滋賀県産の食材を使い、「近江懐石」を提供しています。
健次さんは手を触れずに包丁と箸で魚をさばく「式包丁」を学び、2010(平成22)年に「日本包丁道清和四條流 第35代家元を襲名。日吉大社、近江神宮で式包丁を務めています。長年日本料理人として職務に精励したことを評価され、2023年4月には黄綬褒章を受章しています。
自宅でぜいたくなひとときを
「近江牛冷凍おこわ蒸し」は、西武・そごうの「季(とき)の味倶楽部(クラブ)」の商品として開発されました。健次さんは「近江牛は脂の質が上品で、冷凍のままレンジで温めて手軽に近江牛が味わえると全国から注文が入ります」と話します。
「近江牛冷凍おこわ蒸し」は自社のECサイトと「季の味倶楽部」の6月の商品として販売しています。
健次さんは「自宅でぜいたくなひとときを味わってもらえれば」と呼びかけます。
近江懐石 清元
滋賀県大津市雄琴6-1-35
077-578-1340
営業時間:11時30分~15時、17時30~21時30分
水曜定休(2023年12月25日~2024年1月1日休業)
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取材・文=山中輝子