大津が生み出した素材、歴史、文化、技術などに深く関わりを持つものを中心に「高い品質である」と認められた食品と工芸品を大津商工会議所が「大津百町百福物語」ブランドとして認定しています。
2015(平成27)年に大津商工会議所が始め、現在までに55点が認定を受けています。
びわ湖大津経済新聞では、地元で愛される「大津百町百福物語」認定商品に携わる人にスポットを当て、特集記事を公開していきます。
イサザを知ってもらいたい
第27回は新近江別館(大津市松原町)の「イサザのカリカリ揚げ」です。
琵琶湖の固有種であるイサザを油で揚げ、オーブンで焼いて水分を抜き、カリッとした食感に仕上げ、みりん、砂糖、しょうゆで甘く味付けをした「イサザのカリカリ揚げ」。懐石の一皿として提供したところ、「持って帰りたい」という声が多く、土産物としての販売を始めました。
イサザは、豆と一緒に煮込む伝統料理の「いさざ豆」やつくだ煮、すき焼き風に味付けをした鍋料理「じゅんじゅん」などで食べることが多いですが、滋賀県民にもなじみが薄い魚です。
オーナーシェフの清水康宏さんは「イサザは揚げるとくせがなくなり、子どもでも食べやすくなる。コアユやモロコでも同じ調理法で試してみたが、一番食感が良かったのがイサザ。イサザは比較的手に入りやすく、その割に需要が少ないので、イサザを知ってもらうためにも食べてもらえたら」と話します。
瀬田川沿いの料理旅館
瀬田川沿いの料理旅館新近江別館。毎年8月17日、建部大社の船幸祭の時には、瀬田川でみこしを船に載せて巡行をする「船渡御神事」が行われます。祭りの最後に上がる花火を見るために、館内の窓際の席は多くの人でにぎわいます。
花火弁当にもイサザのカリカリ揚げを入れて提供。
「川魚特有の臭みも少なく、ビールのつまみや子どものおやつにもできる。イサザのカリカリ揚げをきっかけに、滋賀の魚に興味を持ってもらいたい」との思いで提供しています。
2022年には、4階に「ライブキッチン 康雲-kouun-」をオープン。カウンターで料理を提供しています。清水さんは「対面で料理や川魚の説明をしながら提供できる空間を設けました。ベストの状態の料理を食べて、ゆっくりとした時間を過ごしてもらえれば」と話します。
新近江別館
大津市松原町18-10
営業時間
11時30分~15時(ラストオーダー14時)
17時30分~21時30分(ラストオーダー21時)
ホームページ https://shin-oumi.jp/
ライブキッチン 康雲は予約制。
取材・文=山中輝子