2025年、滋賀県で「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ(第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会)」が開催されます。
2013年から取り組む女子ラグビーの強化
滋賀県は、国スポ総合優勝を目指して各競技の強化に取り組んできました。今回は女子ラグビーの取り組みを紹介します。
楕円(だえん)形のボールを奪い合い、ボールを相手側のインゴールに持ち込んで得点を競い合うラグビーフットボール。「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ」では、10月3日・4日・6日・7日に少年男子、10月6日・7日に成年男子、10月4日・5日に女子の大会が開催されます。
滋賀県には光泉カトリック高校など男子の強豪校はありますが、県内の中学・高校には女子のラグビー部はなく、男子に交じって練習するしかない状態でした。女子7人制ラグビーが2016年のリオ五輪より正式種目となり、国体でも同年の岩手国体より公式種目となることが決まったことから、2013(平成25)年、滋賀県ラグビーフットボール協会は、女子ラグビーの強化のためにガールズラグビーアカデミー「BREEZE(ブリーズ)」を立ち上げました。
立ち上げ当初からヘッドコーチを務めている小学校教員の小堀文雄さんの教え子を中心に小学生のスクールとして始まったBREEZE。今では、小学生から社会人まで約30人で活動し、試合に出場する滋賀県で唯一の女子ラグビーチームとなりました。
限られた時間の中で日本一を目指す
BREEZEが滋賀県代表として初めて近畿ブロック予選に出場したのは2018(平成30)年。16歳以上しか出場できない規定があり、急きょ集めたメンバーで出場しますが、大敗。2019年に和歌山代表に勝ち、初勝利を挙げたものの、近畿ブロックには全国大会で毎年ベスト8以上の成績を残している京都、大阪、兵庫の各代表がいることから、滋賀県代表は今までに一度も国スポ(国体)に出場したことはありません。滋賀県で開催される国スポには、開催県枠で初めて出場します。
初めての国スポ出場に向け、練習しているBREEZEですが、練習は週3、4回の限られた時間のみ。小堀さんは「毎回の練習に目標を立て、練習量が少ない分、密度を上げるよう工夫し、全体練習以外の時間にどんな自主練をしたかをメンバー内で共有。何の練習をしているのかを意識するように働きかけています」と話します。
県内の高校に女子ラグビー部がないことから、県外の高校・大学に進学する選手が多く、メンバーがそろって練習できる機会は夏の合宿だけです。小堀さんは「国スポ予選がない分、8月・9月に合宿をしてチームの強化に時間をかけられる。他府県より若い選手が多い滋賀県代表だが、国スポでの目標は優勝」と意気込みます。
小堀さんは「国スポの最終目的は地域のスポーツの活性化。今は国スポで勝つことにフォーカスしているが、国スポの後に滋賀県に女子ラグビー文化が継続していくことが一番大事。今国スポに向けて頑張っている選手たちがコーチになって滋賀の女子ラグビーを支える存在になってほしい」と期待を込めます。
取材・文=山中輝子