滋賀県で「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ(第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会)」が開催されます。
今回は、きょうだいで国スポに出場する小野真奈さん、小野凉城さんを紹介します。
国スポは9月28日~10月8日、障スポは10月25日~27日に県内各地で開催されます。国スポの開幕式は28日ですが、一足早く、会期前競技が6日に始まっています。9日にはトランポリン男子の部で滋賀県代表の宮野隼人選手が優勝し、今大会の滋賀県勢初の優勝を飾りました。
14日・15日には滋賀ダイハツアリーナ(大津市上田上中野町)で体操競技成年男子・成年女子の部が開催されます。男子は、ゆか・あん馬・つり輪・跳馬・平行棒・鉄棒の6種目、女子は跳馬・段違い平行棒・平均台・ゆかの4種目で行い、男女とも1チーム5人が演技。各種目、上位4人の合計得点で順位が決定。技の難易度・美しさ・雄大さ・安定性などが採点の基準となる競技です。
滋賀県代表の成年男女各5人の中に、小野真奈さんと凉城さんのきょうだいが選ばれました。2人は野洲市出身。真奈さんは栗東高校から東海大学に進み、体操競技部女子の主将を務め、2024年、第78回全日本学生体操競技選手権大会(インカレ)女子2部で個人、団体共に優勝の成績を残しました。
真奈さんは「大学卒業で競技を引退するのではなく、地元の滋賀県で開催される国スポを最後の舞台にしようと決めました。国スポが人生で最後の試合。弟と一緒に出場できるのは心強い」と話します。最年長の深沢こころさんと一緒に大学生のメンバーを引っ張り、「全員が完ぺきな演技をして3位入賞を目指す」と意気込みます。
弟の凉城さんは2019年、中学3年の時に滋賀県代表(少年の部)として茨城国体に出場。中学卒業後、作新学院(栃木県宇都宮市)に進学。栃木代表として2022年の栃木国体に出場した経験があります。
2025年のインカレでは、仙台大学の一員として出場。男子1部種目別跳馬で優勝、個人総合3位、団体2位という成績を残しています。
滋賀国スポでは、凉城さんが「レジェンド」と表現する先輩たちと共に優勝を目指します。
真奈さんは3歳で、凉城さんは5歳で始めた体操。「子どもの頃はやらされているという感覚で、あまり好きではなかった」と話す凉城さん。転機は高校入学。「高校に入ってから、自分で考えてトレーニングメニューや練習メニューを決めるようになり楽しくなった」と振り返ります。「自分がやってきたことが間違いではなかったと感じることもあり、失敗しても原因があると考えるようになってから楽しくなり始めました」と話します。
真奈さんにとっての恩師は栗東高校の寺田英莉教諭。「それまでは基礎を学んでいなくてもパワーで技ができていたのですが、体が大きくなってできなくなり、寺田先生に基礎を学んだことで、技がやりやすくなって、もう一度体操が楽しくなりました。それからは、けがをしてもやっていける体の作り方や技を覚えて、大学でも苦労することなく続けられました」と話します。
「体操は自分を痛めつける競技」と話す凉城さん。「スポーツの中でも損が多い競技で、どんなに練習しても試合の演技で失敗してしまうと点数が出ない。その分、成功したときの達成感がある。人によってやる技が異なり、自分に合った技があり、強い人、美しい人など人によって違うところが面白い」と話します。
インカレ種目別跳馬で大学ナンバーワンになった凉城さんの得意技は「ヨネクラ」。側転してから後方に宙返りをする間に3回転半ひねる技で、跳馬の技では最高難易度。凉城さんは「日本でもできるのは5人ほど」と話します。大学入学後に練習を始め、3年かけて習得し、今年に入ってからできるようになったとのこと。「ヨネクラができるようになって、試合は敵なしになりました。難易度の高い技ができた時の達成感は大きい」と話します。
凉城さんの目標は世界。国スポ終了後は全日本体操個人総合選手権に出場し、日本代表入りを目指します。
取材・文=山中輝子