琵琶湖を切り口にした滋賀県版SDGs「Mother Lake Goals(MLGs)」。びわ湖大津経済新聞では、MLGsの目標を地域に根づかせ、学びの入り口をつくる役割を担う「MLGs案内人」を紹介します。
MLGsは、「琵琶湖」を切り口とした2030年の持続可能社会へ向けた目標(ゴール)です。13のゴールが設定されています。
MLGs案内人特集の2回目は、琵琶湖の魅力を「ものづくり」で伝える活動に取り組む大塚佐緒里さん。環境学習の講師やイベントでのワークショップをきっかけに地域への関心を深めてもらう取り組みを続けています。

大塚さんは結婚をきっかけに草津市に移り住み、子育てサークルや草津の土産を開発する活動、地域防災など、地域の良さを深めて広める活動に取り組んできました。

近年は、草津市の花「アオバナ」を広めるため、小中学校で出前授業を実施。子どもたちが学校で苗から育てたアオバナで染めた布を使ってお守りを作るワークショップを行っています。

アオバナを広める活動をする中で出会った関係者の紹介で、MLGs案内人としての活動を始めた大塚さん。8月23日には、27日の「世界湖沼の日」制定記念のワークショップを草津の矢橋帰帆島公園で実施。MLGsカラーの六角形を組み合わせて琵琶湖を表現した「MLGs巨大タぺストリー」に来場者が手形や足形をスタンプして琵琶湖やMLGsへの思いを書き込みました。

そのほか、「びわこ環境フェスタ」「オータムフェスタ」にも出店し、ペットボトルを使ったランタン作りなどを実施。11月には真珠を取り出した後の貝殻を使った「イケチョウガイの時計ボックス」作りのワークショップを開催しました。

琵琶湖の固有種イケチョウガイは、淡水真珠の養殖に使われ、真珠を取り出した後は廃棄されています。真珠の養殖場を訪問し、大量に積み上げられたイケチョウガイの貝殻を見て「役目を終えたイケチョウガイの貝殻に新しい時を刻みたい」と考えた大塚さんは2024年からイケチョウガイを使ったワークショップを実施しています。

「船で養殖場へ向かい、生産者から直接話を聞いた経験は大きかった」と話す大塚さん。「二枚貝は特定の魚のエラで育つことや、琵琶湖パールは貝の育成から核入れまで一人の生産者が行うことなど、現場を見て初めて知ることが多かった」と振り返ります。

沖島を訪れた際も、現地の雰囲気や人の動きに触れ、「聞くだけでは分からない魅力があった」と実感したそうです。
「現地の人と交流しながらものづくりができれば、より深い思い出になるはず。生産地を訪れて見学してからワークショップをする機会を増やしたい」と話します。
琵琶湖の恵みを知り、地域の文化を体験する入り口をつくる大塚さん。ものづくりを媒介に、琵琶湖と参加者をつなぐ役割を担っています。