日本一パンの消費量が多いまち・大津市で、パン作りに関わる人や店を紹介します。
2016~18年の食パンとそのほかのパンの合計消費量が47都道府県の県庁所在地と指定都市の中で大津市が1位になり、年間の平均消費量は55.6キロで全国平均を24%上回っています。(総務省家計調査)
和邇駅の近くにある「パンとケーキのお店fuwari(フワリ)」は、パン職人の川尻美智代さんとパティシエの石田由美子さん、「ママ友」の2人が一緒に始めた店です。
3日パン、3日ケーキが並ぶ店
川尻さんは、パン職人の義父からパンの作り方を学び、営業許可を取って自宅やフリーマーケットなどでパンを販売していました。子どもの同級生の母親である石田さんと出会い、一緒に店を開店することになりました。
開店したのは2018(平成30)年6月。2年間は地元での認知度を上げるため、パンとケーキを毎日、店頭に並べていましたが、現在は月曜・水曜・金曜は川尻さんが作るパンの日、火曜・木曜・土曜は石田さんが作るケーキの日となりました。「店と家庭とのバランスがちょうどいい」と話します。
幼稚園、小学校、中学校の3人の子どもを育てる川尻さん。「父から習った製法に忠実に、シンプルな材料で、子どもたちに食べさせたいと思うパンを作りたい」と話します。
ケーキ店とパン店の相乗効果
パンの日に店頭に並ぶパンは50種類以上。朝、子どもたちが寝ている間に家を出て、仕込みが始まります。働く母の背中を見て育った子どもたちは協力的で、学校が終わった夕方に店に手伝いに来ることもあるそうです。川尻さんは「家の近くに店があるので、頑張っている姿を見せられるのがいい」と話します。
食パンは砂糖が少なめで、バターやジャムに合い、「毎日食べても飽きない食パン」と評判で、予約で売り切れることもあるそうです。大津市のふるさと納税の品にも選ばれており、全国から注文が絶えない人気商品です。
ケーキ店と一緒に出店しているので、メロンパンのクッキー生地は洋菓子のレシピで作り、パンに使うカスタードやアーモンドクリーム、生クリームなどは菓子作りと同じものを使っています。トマトやイチゴ、シャインマスカットなど新鮮なものが入荷できるという利点もあるそうです。川尻さんは「ケーキ店と一緒にやっている強み」と話します。
「パン作りが楽しい」と話す川尻さん。「パンを作るのが楽しくて、そのパンをおいしいと言ってくださる人がいて、楽しいことを仕事にできて幸せ」と笑顔で話します。「最初は皆さんに知ってもらうことを目標にしてきましたが、これからは、できるところまで長く、楽しく続けられたら」と地元に長く根付くことが今後の目標だそうです。
「ママ友」2人の夢の店。今日はパン、明日はケーキが小さな店で来客を待っています。
パンとケーキのお店fuwari
滋賀県大津市和邇中浜473-1
TEL:077-548-8353
定休日:日曜日
営業時間:9:30~18:30(売り切れ次第終了)
取材・文・撮影=山中輝子