大津商工会議所と「Code for Shiga / Biwako(コードフォーシガ/びわこ)」が7月15日、「びわ湖花火大会オープンデータ活用実証事業」を開始したと発表した。
オープンデータとは、「機械判読に適した形式で、かつ2次利用が可能なデータ」とされる。原作者から都度許諾を取る必要がなく、自由にプログラムとしてデータを呼び出せることによって、クリエーターなどが便利なサービスを生み出す可能性もある。県や市などによる公共データに限らず、民間企業が持っている店のメニューや観光施設の情報、バスの時刻表、研究機関が持っている観測情報、研究論文などあらゆる情報にも及ぶため、地域全体の活性化も見込まれる。
今年も8月8日に開催されるびわ湖花火大会の情報をオープンデータとして公開し、誰でもアプリやウェブサービスを自由に作ることもできるデータに変換作業を行ったのは、任意団体「Code for Shiga / Biwako」。データは大津百町まちなかバル運営委員会、大津市、びわ湖花火大会実行委員会が提供した。同団体は地域経済活性化クリエーターの藤澤栄一さんのほか、学生、エンジニア、学術機関関係者などが参加するワークショップで作業を進めた。
「プロボノ(プロフェッショナルなボランティア)」と呼ばれる市民の手で情報技術を使って公共サービスなどにおける地域課題を解決し、地域を開発していく「シビックハック」という形態は2010~11年ごろから日本ではスタート。大阪や京都でも実施されており、世界中から注目を集めているという。オープンデータについては福井県鯖江市などでも取り組みがされているが、滋賀でアプリを作成するなど実践的なものは初の試み。
同団体メンバーで広報の筈井淳平さんは、「より多くのクリエーターが滋賀に役立つアイデアを生み出す環境ができること、滋賀の生活がもっと楽しく便利になっていくことが目的。東京などに就職で出て行くのではなく、滋賀で頑張って仕事をしようと思ってもらいたい」と意欲を見せる。「みんなが便利と思うものが使われていく。ボランティアでの取り組みではあるが、広告として利用したりもできる。受託と委託の関係ではない」とも。警備上の問題で花火観覧のおすすめスポットや混雑状況などの提供は断念したが、議論が深まってくれば今後の可能性はあるという。
大津市商工会議所総務部・業務部の冨江義則部長は「大津には歴史的名所やおいしいお店がいっぱいあるが、あまり知られていない。紙媒体だけでは周知に限界がある。オープンデータ化によって店側も努力すると思う。花火を見るだけで帰るのではなく、大津での滞在時間を長くしていただくことで商業・観光の振興につながれば」と期待を込める。
当日までには花火大会のウェブアプリを作るワークショップも予定している。開催日は7月27日(基礎編)、8月3日(応用編)で、時間はいずれも13時30分~18時。会場は「コラボしが21」9階会議室。参加無料。Macを持っている、ホームページを公開したことがあるなどの条件が必要。詳しくはホームページで確認できる。