写真と絵本の原画を展示する「たいせつなもの展」が1月12日・13日、草津アミカホール(草津市草津)で開催され、約100人が来場した。主催は南草津マンション防災委員会。
同委員会代表の江藤沙織さんは「防災とは、自分の大切な日常を守ること。いつ来るか分からない災害に備えるというより、大切なものを守るためなら準備ができるのではないかと思い、大切な物は何だろうと考えてもらうきっかけを作りたくて、『たいせつなもの』という絵本を作った」と話す。
絵本の原画と共に大切な物を持っている親子の写真も展示。撮影したフリーカメラマンのおおえちえさんは「草津市の親子に呼び掛け、それぞれの大切な物を持ってきてもらい近所の公園で撮影をした。災害はテレビの向こう側のことと思っている人も、大切な物が災害で無くなったらどう思うのか想像することで防災が自分のことになる。写真を撮影することで『大切な物ってなんだろう』と家族で話すことが目的だった。写真を見た人も、自分の大切な物は何か考え、日常を見つめ直してもらえたらうれしい」と話す。
両日とも、14時からは江藤さんの講演会を行った。江藤さんは「甲賀市土山の出身で、顔見知りが多く、助け合える環境で育った。南草津のマンションで子育てをする中で人間関係がないことが不安だった。災害時、助け合える人が周りにいれば安心だと思い防災委員会を立ち上げた。公的な機関から与えられる『公助』ではなく、自分で自分を助ける『自助』、お互いに助け合う『共助』のために、助けてほしいときに『助けて』と言える関係をつくるLINEグループを作った。物のやり取りや子どもを預け合うことで『助けて』という練習と、『ここまでなら助けられますよ』という練習をしている。人間関係は平和な時にしか備えられない」と防災委員会を立ち上げたきっかけを話した。
江藤さんは「災害が怖いのは、大切な物を失い、それでも自分は生きているかもしれないということ。今ある物を大切にすることで明日からの日常がよくなる。人間関係も物も『これがあると幸せ』ということを知り、それを守ることが防災だと思っている。自分に偏った防災でいい。防災のプロを目指すより、皆で一歩前に進みたい。それが100人なら100歩になる」と話す。
「子育て中のお母さんは経済活動をしていないことで自己肯定感が低くなってしまうが、ありのままを写した写真を多くの人に見てもらって認めてもらうことで自己評価も上がると思う」とも。
20日にはロマン楽器草津本店(草津市南草津)、25日には甲賀市まちづくり活動センター(甲賀市水口町水口)で、そのほか湖南市の乳児健診時にも開催する。