年末恒例の「ジルヴェスター・コンサート2020-2021」が昨年12月31日、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール(大津市打出浜)で開催された。
バイオリン奏者の服部百音さんがチャイコフスキーのバイオリン協奏曲ニ長調作品35を演奏した(写真提供:びわ湖ホール)
びわ湖ホールは1998(平成10)年に西日本初の本格的なオペラ劇場として開館。昨年3月にはオペラ「神々の黄昏(たそがれ)」を無観客で上演し、ユーチューブで無料配信を行い、文化・芸術において清新かつ創造的な業績を上げた団体・人に贈られる「第68回菊池寛賞」を受賞した。
開館以来毎年、大みそかに年越しコンサートを開催してきたが、新型コロナウイルスの影響でカウントダウンを取りやめ、開演時間を15時に早めた。阪哲朗さんの指揮で大阪交響楽団がチャイコフスキーの歌劇「エフゲニー・オネーギン」のポロネーズを演奏してコンサートが始まり、21歳のバイオリン奏者、服部百音さんを迎えてチャイコフスキーのバイオリン協奏曲ニ長調作品35を演奏。オペラのアリア(独唱曲)を八木寿子さんやびわ湖ホール声楽アンサンブルの清水徹太郎さん、迎肇聡さん、山本康寛さんが歌った。チャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」作品71を演奏。アンコールはクライスラーの「レチタティーヴォとスケルツォ」を服部さんが独奏し、ヨハン・シュトラウス1世の「ラデツキー行進曲」で幕を閉じた。
びわ湖ホールの担当者は「音楽は言葉を介さないでダイレクトに感情を刺激するもの。ステージ上の演奏者と観客席の聴衆が音楽を介して一体になるという稀有(けう)な体験をすることができる。自分の感覚、感性で圧倒的な生の尊さを感じることができるのが、生の音楽を聴くことの素晴らしさだと思う」と話す。観客からは「この状況下で、いろいろな工夫によりコンサートを実現してくれて感謝している」「鑑賞してエネルギーをもらった」などの声があったという。「コンサートの楽しみは平和な日常があってこそ実現できるもの。今のようなときにその平和な日常を希求していく素晴らしさを再確認し、取り戻そうという活力のよりどころとなると思う」と担当者。
コンサートは有料でライブ配信され、チケットぴあの「PIA LIVE STREAM」とイープラスの「ストリーミングプラス」で1月14日までアーカイブ配信をしている。配信視聴料は2,000円。