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滋賀県立美術館で企画展 「アール・ブリュットとは何か、つくるとは何か」を考える

突起が特徴的な澤田真一さんの陶土作品

突起が特徴的な澤田真一さんの陶土作品

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 アール・ブリュット作品などを展示する企画展「人間の才能 生みだすことと生きること展」が1月22日、滋賀県立美術館(大津市瀬田南大萱町)で始まった。

無数のボタンを縫い付けた井村ももかさんの作品

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 「アール・ブリュット」は、フランスの芸術家ジャン・デュビュッフェが1945年ごろに生み出した言葉で、「芸術的文化によって傷つけられていない人たちによって制作されたもの」と定義されている。

 企画展は「起」「承」「転」「結」で構成されている。「起」では「アール・ブリュット」の定義について説明し、「承」では、澤田真一さんの陶土作品や鵜飼結一朗さんの14メートルにも及ぶ絵画「妖怪」、紙にはさみで無数の切れ込みを入れる藤岡祐樹機さんの作品など「アール・ブリュット」作品を展示。

 「転」では、知的障がい者のための入所施設「みずのき寮」の絵画教室で制作された絵画や、家族やスタッフのサポートを受けて描いた作品のほか、京都市立芸術大学教授の中原浩大さんが幼少期に描いた絵画や自由研究、高校時代の絵画などを通して一人の人間の成長を一覧できる「Educational」など、「アール・ブリュット」の定義に収まらない作品を展示している。「結」では廊下にミラー状の壁が用意されていて、来館者が自由に書き込むことができる。

 館長の保坂健二朗さんは「アール・ブリュットは、芸術的文化によって傷つけられていない人、分かりやすく表現すると、専門的な芸術教育を受けていない人が生み出すアートと定義されているが、難しい概念。1945年当時はいたかもしれないが、テレビやインターネットなどイメージに毒されている現代では、アール・ブリュットが成立しなくなる可能性もある。難しさをどう受け止めたらいいか、アール・ブリュットとは何か、人にとって『つくる』とは何かを考える展覧会にしたいと思った」と話す。

 「全ての作家に共通するのは、生み出すことと生きることが一体化しているということ。ものをつくることが、その人の生活の中で重要なものになっている作品を選んだ。鵜飼さんは、ルーティン化した生活の中に制作を組み込んでいる。自然に描き始め、生活の一部につながっていることが分かる。制作風景を撮影した映像も上映しているので、見てもらいたい」と呼び掛ける。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館。観覧料は大人=1,300円、高校・大学生=900円、小・中学生=700円。3月27日まで。

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