滋賀県の19市町の小・中・高校で元Jリーガーの村田和哉さんが講演する「しがのわプロジェクト」が5月10日、河西小学校(守山市小島町)を皮切りに始まった。
村田さんは守山市出身で、2006(平成18)年に野洲高校(野洲市)で全国高校サッカー選手権優勝を経験。セレッソ大阪、清水エスパルス、柏レイソルなどJリーグで活躍し、2021年1月31日に現役を引退した。
村田さんは現役時代の2016(平成28)年から「夢授業」として、全国各地の学校で講演してきたが、「子どもたちが夢を持てない、自分の夢を信じられないという現状を知り、Jリーガーとして経験を伝えないといけないと痛感した。同じ滋賀県出身の自分が話をすることで、夢を身近に感じられるのではないか」と考え、「しがのわプロジェクト」を始めることを決めた。
「スタートは母校で」との村田さんの強い思いから、河西小学校での講演が実現。4時間目に6年生203人が村田さんの講演を聞いた。
村田さんがJリーグで実際に着用したユニホームを子どもたちに着せ、村田さんの現役時代の映像を流すと、子どもたちから歓声と拍手が起こった。
村田さんは「失敗や挫折ばかりの人生だったが、それをどう捉えていくかが大事。マイナスなことが起こったら、楽しむようにしている。例えばおみくじで凶が出たら、『今の状況で凶なら、大吉になったらどうなる?』とわくわくする。試合が雨だと、『キーパーが滑るから、シュートを打てば絶対に入る』と考える」と話した。
村田さんが実際に書いた「夢ノート」を披露し、「カズ(三浦知良選手)と写真を撮る」「ベンツに乗る」「鳥取のコナン館に行く」「守山でトークショーをする」など、実際にかなったことを紹介した。村田さんが河西小学校の卒業式で皆の前で「夢はJリーガーになること」と話す映像を流し、夢が実現したことを子どもたちに見せた。
村田さんは、「滋賀県にJリーグチームを」という新たな夢に向かって、2021年にサッカーチーム「ヴィアベンテン滋賀」を立ち上げた。村田さんは「僕も、君たちと同じで、夢を持っている。10年後、20年後、どちらが夢をかなえているか勝負しよう。大人でも夢を持っている。自分の可能性を信じてやってほしい。10年後、皆がどんなすばらしい人物になっているか楽しみにしている。早速、ノートに夢を100個と、自分のサインを書いてほしい」とメッセージを送った。
講演を聞いた6年生の生徒は「夢なんてかなわないと思っていたが、同じ小学校で有名な人がいて、夢は絶対にかなうと教えてくれたので、私もあきらめないで夢をかなえようと思う」「夢は、一つに絞るのではなく、小さいことでも、大きいことでも、夢を持っておくとかなうと教えてもらった」と話した。
村田さんは「以前に夢授業を聞いた子どもが、大学生になってプロジェクトを手伝ってくれたり、町で声をかけてくれたりする。サッカーだけでなく、滋賀県にあらゆる分野で活躍する魅力的な人が育ってくれたら。引退直後のまだ動けるときに、実践することが重要だと感じている。大人がもう一度夢に挑戦している姿を見ることで、子どもたちも勇気が湧くのではないか」と話した。
5・6時間目は小学3年生を対象に、ストリートサッカーの体験会を実施した。小学生が村田さんと1対1のサッカー対決をした。村田さんがリフティングやヒールキックなどの技を見せると、子どもたちから歓声が上がった。
「しがのわプロジェクト」は、年度内に19市町全てで実施する予定。