見る・遊ぶ 学ぶ・知る

琵琶湖博物館でミナミヌマエビ展示 100年ぶりに滋賀県内で発見

琵琶湖博物館学芸員の田畑さんは「責任を持って飼ってほしい」と話す。

琵琶湖博物館学芸員の田畑さんは「責任を持って飼ってほしい」と話す。

  • 7

  •  

 約100年ぶりに滋賀県で発見された淡水エビ「ミナミヌマエビ」の展示が3月14日、琵琶湖博物館(草津市下物町)で始まった。

100年ぶりに滋賀県で発見されたミナミヌマエビ

[広告]

 ミナミヌマエビは西日本に広く分布する淡水エビで、滋賀県内の河川でよく見られたが、高度成長期の人口増加や工場建設、農薬の使用などにより1960年代から急激に減少した。2000年以降に中国や韓国に生息する外来種のシナヌマエビが増えたことから、シナヌマエビと交雑してミナミヌマエビは滋賀県内では絶滅したと思われていた。

 2022年に京都大学の大貫渓介さんと福家悠介さんが滋賀県内の川でミナミヌマエビを発見したことを論文で発表。ミナミヌマエビはシナヌマエビとよく似ているが、角の長さや足のくぼみなどが異なり、遺伝子分析により滋賀県在来のミナミヌマエビだと判明した。滋賀県内では、1915(大正4)年に彦根市で採集された標本が唯一の確実な記録で、107年ぶりに滋賀県内でミナミヌマエビが発見されたことになった。

 同博物館の入り口近くのアトリウム企画展示室前にミナミヌマエビ、シナヌマエビ、ミナミヌマエビとシナヌマエビの交雑種、107年前のミナミヌマエビの標本(京都大学総合博物館所蔵)を展示している。

 琵琶湖博物館学芸員の田畑諒一さんは「どこにでもいるエビなのであまり調査されていなかった。1915年の標本もスジエビと間違えてラベルが貼られている。シナヌマエビが増え、ミナミヌマエビは絶滅したと思われていたが、滋賀県のごく普通の川で発見されて驚いた。エビが川から川へ移動することは少ないので、たまたまその場所だけシナヌマエビを捨てる人がいなくて交雑しなかったのだと思う」と話す。

 田畑さんは「シナヌマエビは、観賞用や釣りの餌として輸入され、要らなくなったら川に捨てられてミナミヌマエビと交雑してしまった。無責任に飼って捨てた人のせいで悪者になってしまった。滋賀県では条例によりシナヌマエビを飼育する際には届け出が必要となっているが、あまり知られていないのが現状」と話す。

 「100年見つからず、生きているとは思わなかったミナミヌマエビが発見されたが、今後、絶滅するか種が残るかは滋賀県の人たちに懸かっている。滋賀の自然を守るのは滋賀県の人。飼い始めたら最後まで責任を持ってほしい」と呼びかける。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館。現在、水槽破損のため、水族展示室を閉室中。A~C展示、ディスカバリールームなどは開館。入館料は、水族展示室閉室中は大人=550円、高校生・大学生=300円、中学生以下無料。5月14日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース