ナカマチ商店街(大津市)から地元の情報を発信するミニFM局「ナカマチ放送局」が4月1日、放送を開始した。
ナカマチ商店街は丸屋町、菱屋町、長等の3つの商店街の総称で、JR大津駅と京阪びわ湖浜大津駅の間にある東西約600メートルのアーケード商店街。昭和30~40年代の高度成長期には約240の店があり、多くの客でにぎわっていたが、現在の店舗数は93軒で、シャッターの下りた店舗が目立つ。
「一過性のイベントではなく、商店街が自力再生を目指すために」と、ミニFMラジオ局を開設した。ラジオパーソナリティーの鈴木みちるさんのアナウンス講座を修了した大津市や神戸市のパーソナリティーがナカマチ放送局から地元の情報を発信している。毎日15時にはラジオ体操を流し、商店街のアーケード内の数カ所で近隣住民が集まり体操をしている。
現在、生放送は金曜・土曜のみだが、今後はパーソナリティーを増やして生放送を増やす予定。近隣の大学や高校の放送部と協力してオリジナル番組の制作や、地元の小・中学校の子どもたちが出演する企画なども発信する。
FM局内にはコミュニティーカフェ「此処珈琲焙煎所(コココーヒーばいせんじょ)」とレンタルスペースを併設。レンタルスペースではすし店や雑貨店などが出店している。
ナカマチ商店街連合会事務局長で、Boss百町物語(大津市長等)支配人の北村浩之さんは「2017(平成29)年に商店街に出店した時、3軒に2軒は空き店舗だった。2時間ほど店の前に立ってみたが、一人も通らなかった。子どもの頃に親に連れられて来た商店街からは想像もつかない寂れ方だった」と振り返る。
「活性化のためにイベントをしてみたが、その日だけ集客できても、次の日には誰も来ない。行政や企業の支援もすぐに尽きてしまう。商店街の本来のあるべき姿を取り戻し、自力再生をするためには、『毎日何かをやっている』場所にしたいと思った」とミニFMを立ち上げたきっかけを話す。
「3つの商店街が力を合わせて立ち上げた放送局。地域の応援やクラウドファンディングでの支援もあり、皆さんが商店街に愛情を持ってくれていることを知った。24時間365日、発信できる場所にしたい。若い人にも来てもらうきっかけになれば」と意気込む。
放送は、ミニFM(半径200メートル以内)、商店街のアーケード内、インターネットラジオで聞くことができる。