境内に2000個の風鈴を飾り付ける「風鈴参道通り抜け」が6月24日、西教寺(大津市坂本)で始まった。
新型コロナウイルスの流行で自粛生活が続いた2021年、「少しでも明るい気持ちになってもらいたい」と参道に木枠を組み、初めて風鈴を飾り付けた。今年は本堂に向かう参道と参道階段にも棚を設け、2000個の風鈴を飾り付けている。本堂と客殿をつなぐ回廊にも風鈴を飾った。
風鈴は江戸時代、寺院につり下げられている風鐸(ふうたく)が、魔よけや暑気払いとして庶民の間で形を変えて浸透したとされる。昔から風は疫病を運ぶと考えられていて、風鐸は、音を立てることで邪気を払い、音の聞こえる範囲は浄域(神聖な領域)として災いが起こらないとされた。
同寺主事補の前阪良樹さんは「新型コロナウイルスが流行する中、何ができるか考え、疫病退散の気持ちを込めて僧侶が風鈴一つ一つに色付けした。2年前と比べると風鈴の数は4倍になったが、今年も思いを込めて手塗りした」と話す。8色に色付けられた風鈴は、風が吹くと一斉に揺れ、涼やかな音を鳴らした。風鈴が揺れる風景を収めようと写真や動画を撮影する参拝客の姿も見られた。
2000個中1つだけある金色に彩色された風鈴の舌(ぜつ・短冊)に書かれた言葉を受付で伝えると風車がもらえる。子どもが対象。前阪さんは「金の風鈴を探すために境内をくまなく見てもらうことで歴史を感じ、仏と向き合ってもらえれば」と話す。
29日から9月3日は「光が織りなす極楽の世界」をテーマに風鈴をライトアップする。前阪さんは「ライトアップすると、また趣が変わり幻想的な空間になる。風鈴がきっかけになって幅広い世代の人に参拝してもらえれば」と期待を寄せる。
拝観時間は9時~17時。拝観料は、大人=500円、中学生=300円、小学生=200円。ライトアップを観覧できる夜間拝観時間は18時30分~21時30分(点灯は19時)。夜間拝観料は、大人=800円、中学生=400円、小学生=300円。
風鈴参道通り抜けは9月18日まで。