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琵琶湖博物館で「おこめ展」 田植えやコメ調理の歴史、田んぼの生き物など展示

学芸員の妹尾さん 300倍の米粒模型と共に

学芸員の妹尾さん 300倍の米粒模型と共に

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 コメがテーマの企画展示「おこめ展 おこめがつなぐ私たちの暮らしと自然」が現在、琵琶湖博物館(草津市下物町)で開催されている。

田んぼに集まる生き物の展示

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 琵琶湖博物館には魚類だけでなく、さまざまな生き物や考古学、歴史学、農学などを研究する学芸員が在籍する。考古学を専門とする妹尾裕介さんを中心に、コメをテーマに多様な展示をしている。

 「田んぼは生き物の宝庫」のコーナーでは、タヌキやイノシシ、ヒトなどの哺乳類、カエル、ヘビ、カメ、昆虫など田んぼに集まる生き物を展示。梅雨の時期に田んぼに入り、産卵するナマズの剥製も展示。ヒトが作った田んぼに多様な生き物が生息することが分かる。

 「知っているようで知らない」イネの生態や田んぼの仕組みを解説するパネルや、昭和30年代から40年代に使われていた農耕具なども展示する。昔の田植えと現在の田植えについても展示。妹尾さんは「現在、ドローンで種をまく実験が始まっている。田植え機や稲刈り機を使う田植えがなくなるかもしれないので、現在の田植え風景を一つの歴史として撮影した」と話す。

 稲作が始まった弥生時代の土器を使ってコメを調理する方法や、調理方法の変遷についての展示や、弥生土器の3Dモデルの展示もしている。妹尾さんは「土器や工具などの中まで気軽に見てもらえるように3D化を進めている。300枚の写真を合成して作った土器の3D展示も見てもらいたい」と話す。

 「おこめと私たちのこれから」のコーナーでは、滋賀県で栽培されている「環境こだわり米」について展示。コメを使った滋賀の伝統食ふなずしや日本酒についても紹介している。江戸時代の酒の製造工程の模型と共に、妹尾さんが飲み比べた滋賀県酒造組合に所属する32の酒蔵の日本酒の空き瓶も展示。妹尾さんは「32社のうち1社は今年6月で廃業した。酒蔵が減ってきているが、若い造り手も少しずつ増えている。米どころで水運もある滋賀は酒の生産量は昔から多かったが合成酒の原料になっていた。今は各酒蔵が独自の日本酒を造っていることも知ってもらえれば」と話す。

 300倍サイズの米粒の模型も展示。フォトスポットとして写真撮影ができる。

 妹尾さんは「コメや田んぼについて知り、コメと私たちの未来について考えてもらえれば」と呼びかける。

 開館時間は9時30分~17時(最終入館は16時)。入館料は、大人=800円、大学生・高校生=450円、中学生以下無料。「おこめ展」企画展示観覧料は、大人=300円、大学生・高校生=240円、中学・小学生=150円。11月19日まで。

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