「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が現在、佐川美術館(守山市水保町)で開催されている。
スペインの教会「サグラダ・ファミリア」の建築を手がけたアントニ・ガウディが残した図面、模型や写真、資料、最新の映像などを展示し、ガウディ建築に迫るという企画展。6月から9月まで東京国立近代美術館で開催され、9月から12月は同館で開催される。
「人は創造しない。人は発見し、その発見から出発する」という言葉を残したガウディ。企画展では、ガウディが何もないところから独創的な建築を創造したのではなく、西洋建築の歴史や自然から造形の原理を発見し、建築に反映したことが分かる資料などを展示し、ガウディの発想の源に迫るという。
同教会はガウディが携わる前から建築が始まり、ガウディの死後も100年近く建築が続けられている。「サグラダ・ファミリア聖堂の軌跡」のコーナーでは、ガウディ以前、ガウディ時代、ガウディ以後で同教会がどのような経緯で建築されてきたかを紹介。オーソドックスな教会として建築が始まり、ガウディが担当してからどのように変遷したのかなど建設プロセスを明らかにする。ガウディの死後10年後に起こったスペイン内戦でサグラダ・ファミリアは大きく破壊され、ガウディの設計図や模型が失われた。その後、残された資料とガウディの建築理論から考察してプロジェクトを引き継いだ人々の創意工夫も紹介する。
聖堂の入り口上にある「降誕の正面」の9体の天使の彫刻は、ガウディが残した資料を頼りに日本人彫刻家の外尾悦郎さんが制作した。同展では、外尾さんが制作し、2000年に石像と置き換えるまで実際に「降誕の正面」に設置されていた石こう像も展示している。現地では高い位置にある彫刻を間近で見ることができる。
同教会の完成予想模型やマリアの塔の「星の冠」の試作品、ガウディが制作し、内戦で破壊された物を補修した模型なども展示している。
同展は連日、多くの人でにぎわい、平日は500人以上が、週末は1000人以上が、それぞれ来場している。同館学芸員の深井千尋さんは「ガウディの建築には独自性があり、人を引きつける魅力がある。今回の展示は彫刻やドローンで撮影した映像で、現地では見ることができない部分まで見てもらえる。同教会に行ったことがある人も楽しんでもらえるのではないか」と話す。
開催時間は9時30分~17時(入場は16時30分まで)。月曜と11月28日は休館。入場料は、大人=1,300円、高校生・大学生=900円、中学生以下無料(要保護者同伴)。事前にウェブサイトで予約が必要。12月3日まで。