立命館守山中学・高校(守山市三宅町)のサイテック部が4月から、生分解する繊維「ピエクレックス」を使った堆肥作りを始める。
「ピエクレックス」はトウモロコシやサトウキビなどを原料とする植物由来の合成繊維で、村田製作所(京都府長岡京市)と帝人フロンティア(大阪市)が共同で開発した素材。植物由来であることから、一定の条件下で微生物によって分解される生分解性があり、堆肥の材料となる。
同校サイテック部生物班の生徒約15人がクラブ活動で、ピエクレックスの端切れや栗東トレーニングセンター(栗東市御園)の馬ふん、琵琶湖の淡水真珠の貝殻など県内で廃棄される物を中心とした材料を使い、校内の堆肥場で堆肥を作り、校内農園でトマトやイチゴなどの野菜を栽培する。今後は、文化祭やオープンキャンパスで着用したピエクレックス製のTシャツを堆肥にする予定。同校副校長の箭内健さんは「使わなくなった服が土に返ることを学び、学んだことを生かして社会を変えていく『ゲームチェンジャー』になってもらいたい」と期待する。
3月21日にはピエクレックスの公式アンバサダーである武井壮さんが来校し、サイテック部の生徒7人と「服を捨てずに堆肥化することがどのような社会につながるのか」を話し合った。武井さんは「スポーツをすると靴下や服がすぐに劣化するのでもったいないと感じていた。分解されて堆肥として利用できると知り、暮らしに無駄が無くなっていくと感じた。ほかの学校や町にも広がれば地球が変わるかもしれない」と話した。同中学2年の池内悠さんは「最初は難しい話だと思ったが、多くの人が関わって活動することで実現できると感じた。堆肥ができればメロンを育てたい」と話した。
村田製作所の社内ベンチャーであるピエクレックス(野洲市大篠原)は、2023年10月に同校やスポーツブランド「ヒュンメル」、守山市、長岡京市などと協力して循環インフラ「P-FACTS(ピーファクツ)」の実証開始を始めることを発表した。同校の取り組みも「P-FACTS」の実証実験の一環。
ピエクレックスの社長の玉倉大次さんは「どこか1カ所に大きな堆肥場を作り、服を集めて堆肥にするのではなく、地域の小さな枠組みの中で循環することで自分事になる。ピエクレックスの服を長く着てもらって、着なくなったら堆肥にして、野菜を栽培して食べる。自分の着たものが役に立つことを目で見て分かるので教育にもいい。ここから始めて、全国の学校に堆肥場ができれば」と話した。