工芸作家がポケモンをテーマに制作した作品を展示する企画展「ポケモン×工芸展-美とわざの大発見-」が現在、佐川美術館(守山市水保町)で開催されている。
「ポケモン×工芸展」開催記念の日本の伝統柄「工字つなぎ」の着物を着たピカチュウのぬいぐるみ
2023年3月から6月に国立工芸館(金沢市)で開催された展覧会の巡回展で、佐川美術館は3会場目。陶芸、金工、染織などの作家20人が実際にポケモンのゲームを体験して、展覧会のために制作した84点を展示している。
「すがた-迫る」のコーナーでは、陶器、金属、木などの素材を使い精密に表現されたポケモンを紹介。今井完眞さんが制作した陶芸作品のフシギバナやコイキング、吉田泰一郎さんが金や銅などの金属を彫金して制作したイーブイやサンダースなどを展示する。
「くらし-めでる」のコーナーでは、器や着物、帯留め、マグカップなどポケモンを取り入れた生活用品を展示。甲賀市信楽在住の桝本佳子さんはオブジェでもあり器でもある「オブジェ陶」を出展する。リザードンなど「ほのおタイプ」のポケモンは信楽焼で、ポッチャマなどの「みずタイプ」のポケモンは青磁で表現した。、水橋さおりさんはメリープを描いた友禅訪問着「群」などを、人間国宝の桂盛仁さんはブラッキーの帯留めを、それぞれ出展している。
「ものがたり-浸る」のコーナーでは、ニードルレースのピカチュウが無数に連なる「ピカチュウの森」やポケモンの「わざ」である「つららおとし」をガラス細工で表現した作品などポケモンの世界観を表現した作品を展示。ポケモンの進化を可変金物で表現した「可変金物ココアガラ/アーマーガア」は、ココアガラからアーマーガアに変化するところを動画で見られるようにしている。
同企画展開催記念の日本の伝統柄「工字つなぎ」の着物を着たピカチュウやシンボルマークをデザインしたグッズなども販売する。
大阪市から来館した前田絵里奈さんは「キャラクターと工芸がうまく融合して芸術作品として完成している。子どもから大人まで芸術が分からなくても楽しめると思う」と話す。
同館学芸員の藤井康憲さんは「実物の質感や細部までじっくり見ることができるのは美術館ならでは。とっつきやすいポケモンというツールに出合った細かい手仕事が、工芸に関心を持ってもらうきっかけになれば」と話す。
開催時間は9時30分~17時(入場は16時30分まで)。月曜(祝日の場合は翌火曜)休館。入場料は、大人=1,300円、高校生・大学生=900円、中学生以下無料(要保護者同伴)。事前にウェブサイトで予約が必要。6月9日まで。