滋賀県庁で2月5日、「ココクール マザーレイク・セレクション授与式&フォーラム」が開催された。
「ココクール」とは、「湖国のクールな商品や暮らしぶり」を指し、県が滋賀らしい価値観を持つ商品やサービスとして選定するもの。2013年度は150件以上の応募があり、滋賀・東京での審査を経て10件が選定された。初選定となった昨年度のものと含め20件となる。
嘉田由紀子知事はあいさつで、「滋賀の魅力がたっぷり詰まった10件が選定された。今は滋賀の商品、特集だけで一冊の雑誌ができるほどのありがたい時代になった。ここにいる方々の地道な努力がだんだんと光になって現れている証拠では」と喜んだ。「滋賀ではオリジナル性、東京では市場性が重視された。食品4件、サービス5件、商品1件が選定された」とも。
講評を述べたのは選考委員長を務める辻喜代治成安造形大学教授。「麦から育てるパン屋さん大地堂」のパンは、古代小麦であるリンケル小麦の種の輸入から栽培・収穫・製粉・パン焼き・販売まで専門的に一貫して実践。あまり例のない最高のパン。「かたぎ古香(こうか)園」の「手積み煎茶」は、無農薬栽培にこだわった安全安心な茶を栽培。年1回しか摘まない高品質な茶に非常に価値がある。「ヒトミワイナリー」のにごりワインは、よどみの成分からうま味が溶けだした深い味わい。地産地消・文化を育てる取り組みも評価。「まちづくりびわ」の「ミナミハマぶどうジュース」は、ワインのような濃厚な味が特徴。女性審査員から「朝のワイン」とヘルシーさも好評。「艸方(そうほう)窯」の光る手洗い器は、特殊な素材の陶器が透けて明かりが漏れている雰囲気が素晴らしい。東南アジアのインテリア雑誌にも掲載され、今までにない新しいもの。「安曇川流域・森と家づくりの会」の家づくりは、施主が山に入って自分の家に使う木を実際に見て触るところから家に関わっていく。自分の家への愛着だけでなく森林への理解が生まれる。「明山陶業」の「登り窯ギャラリー Ogama(おおがま)」は、滋賀県立大学の学生と共同で伝統的な大窯をギャラリーとカフェに再生したもの。信楽を訪れる人の新しいスポットになると期待。「琵琶湖汽船」のミシガンクルーズは、びわ湖を感じる定番。「ガーデン」が滋賀の食材を使って大阪で飲食店を展開する「花様 ka-you(かよう)」は、仕入れ・配送・販売まで自社管理のシステム。「ロテル・デュ・ラク」は、奥琵琶湖で新しいびわ湖の存在スタイルで滋賀良さを提供。隠れた滞在型ホテルで新しいあり方を示している。「選ばれた中でもコラボしてますます魅力ある滋賀を発信していただけるのでは」とも。
フォーラムでは、プロダクトデザイナーの秋田道夫さんが「こころをかたちに 作り手と使い手をむすぶデザイン」と題し講演。秋田さんは、駅のICOCAやSuicaの機械や六本木ヒルズのセキュリティーゲートなどのデザインで知られている。滋賀とのつながりとして、滋賀県立大学の生活デザイン科で年1回特別講義を行っている。「本音に根ざしたものづくり、形づくりをすることが大事」という秋田さんは「どうして作っていると使う側の気持ちを忘れてしまうのだろう」とのミスマッチをなくし、客の声に応じたものづくりを心掛けている。秋山さんのデザインした製品のプレゼンテーションを通し、「大ヒットはしないがロングセラー」「使うほどに良さが分かってもらえるように」と使い手への配慮が施されていることに参加者は納得しながら聞き入っていた。
明山陶業の石野伸也取締役は「選ばれてうれしい。3年前から改装に取り組んできたことが評価され励みになった。信楽焼から滋賀の良さを発信していければ」と喜びを述べ、「信楽の優れたデザインの製品でライフスタイルなども提案していきたい」と意気込みを見せる。