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大津で「アール・ブリュット」公開研究会-多彩な分野から研究員

アール・ブリュットの魅力発信を目的にポストイットに書かれた研究員の意見を竹岡さんが整理する

アール・ブリュットの魅力発信を目的にポストイットに書かれた研究員の意見を竹岡さんが整理する

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 「多様な主体との共働による アール・ブリュット魅力発信事業」の一環として、第1回公開研究会が12月12日、ピアザ淡海(大津市)で開かれた。

ボーダレス・アートミュージアムNO-MAの紹介

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アール・ブリュットとは「加工されていない生(き)の芸術」と日本語訳され、文化や流行、教育などに左右されず、自身の衝動のままに表現されたものを指す。フランスで生まれたこの概念は、作家を主に精神障がい者を対象としていたが、知的障がい者、老人、教育を受けずに育った人にも及ぶようになった。

 滋賀県は、知的障がい者を中心に国内でも先駆的に取り組んできた。来年の滋賀の障がい者福祉の礎を築いた糸賀一雄さんの生誕100年にあたり、県内での記念事業の協賛事業として3回にわたる展示会と、それを受けての公開研究会を開いていく。

 研究会は、滋賀県社会福祉事業団企画事業部の齋藤誠一さんの司会、グラフィックデザイナーの竹岡寛文さんによる進行の下、多様な分野から研究員が集まった。日常編集家のアサダワタルさんは、障がい者による音楽や・演劇・ダンスをまとめた本の編集・執筆を手掛けた。県内福祉施設で音楽のワークショップも開いている。近藤隆二郎さんは、滋賀県立大学環境科学部教授で民俗・文化・宗教を研究する。「五感と身体から感じるまちづくりや身体計画論」を構想する。竹内厚さんは「新しいふつうを提案する」編集事務所「Re:S」編集者。情報誌でアート担当も経験。日本全国を旅しながら、カルチャー関係を取材する。嵐と一緒に「たんぽぽの家」を取材したことも。鳥井新平さんは近江兄弟社小学校教諭。「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」では地域交流プログラムのアドバイザーの経験がある。早川弘志さんは、社会福祉法人やまなみ会「やまなみ工房」の主任指導員。制作活動の支援、展覧会の企画・出展などのマネジメントを行う。山口真有香さんは滋賀県立近代美術館学芸員。

 第1回の議題は「日本のアール・ブリュットに関連する取り組みの流れを振り返る」。大津パルコで開催された「アール・ブリュット展」を振り返り、アール・ブリュットの効果的な魅力の発信方法、今までに行っていなかった新たな方法を疑問や課題などを整理する。

 当日は、「KEEP」「PROBLEM」「TRY」の3点について意見交換がされ、研究会の中では、NO-MAの今までの取り組みや作品を紹介するプレゼンテーションも行われた。ヨーロッパ巡回展が好評を博し、ベネチア・ビエンナーレに澤田真一さんの作品が出品されたことなど、滋賀の福祉施設で始まった造形活動が世界の人々の感性を揺り動かしている現状などを紹介した。大津パルコ展については、参加型の展示は良かったが、コラボの仕方をもっと工夫できたのではないかという意見が目立った。写真撮影可否についても議論が交わされた。

「文化表現と社会をつなぐ場作りに取り組んでいるが、アール・ブリュットにとどまらず、新たなものを生み出していければ」(アサダさん)、「見るだけではなく、パフォーマンスも見たい。作家のパワーを感じたい」(近藤さん)、「アール・ブリュットを見る側の反応の違い知りたい」(竹内さん)、「(作品制作側として)障がい者への社会的理解・共生が基本目的であるため、アートではなく福祉として取り組んできた。障がいどうのこうのではなく純粋に作品を鑑賞してほしい」(早川さん)。

今後、第2回は、2月7日~9日に大津プリンスホテルで開催される「アール・ブリュットランドスケープ」展、第3回は、3月1日~23日に「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」かいわいで開催される展示会を視察し、合わせて開く予定。

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