特集

【パン好きのまち大津 Vol.11】 仰木の里「一心堂」

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日本一パンの消費量が多いまち・大津市で、パン作りに関わる人や店を紹介します。

 

2016~18年の食パンとそのほかのパンの合計消費量が47都道府県の県庁所在地と指定都市の中で大津市が1位になり、年間の平均消費量は55.6キロで全国平均を24%上回っています。(総務省家計調査)

 

試作を重ねたどり着いた「究極のサクサク」とは?パン作りの魅力とは?仰木の里の「一心堂」店主・堀井賢一さんにお話をおうかがいしました。

「究極のサクサク食感」を求めて

 仰木の里の住宅街の中にある「一心堂」。朝7時の開店から、常連客が多く足を運ぶパン店です。店頭には、朝早くからベーコンチーズや明太フランス、クルミフランスなどのパンが並びます。

 

 子どものときから「野球選手とパン屋さんになりたい」と思っていました」と話す店主の堀井さんは、大学を卒業してすぐにパン店でアルバイトを始めました。1年半後に社員となり、合わせて13年間修業し、2013(平成25)年に「一心堂」をオープンしました。

 オープンの2年後から発売し、7年たった今でも一番売れているのはパイコルネ。堀井さんが「極限までサクサク感を表現した」というサクッとしたパイコルネの中に、注文を受けてからクリームを入れます。堀井さんは「何度も試作を重ね、時間がたってもサクサク感を保てる生地に仕上げましが、少しでもいい状態で食べてもらいたいので、注文を受けてからクリームを入れることにしました」と話します。堀井さんが追求した「究極のサクサク感」は、同業者からも「どうしたらこんなにサクサクに仕上がるのか」と質問を受けるほどです。

ゴールのないパン作り

堀井さんにとってパン作りは「ゴールがない。毎日が勉強」。「この材料、この製法でできるだろうと作ってみると、思ったように仕上がらないことがあります。何が原因か考え、何度も試作を繰り返し、思っていた通りにできたときに喜びを感じます。うまくいかなかったときも原因を探り、調べる過程も面白い。失敗してもその原因を考えるのが楽しい」と話します。

 

 「前日にうまくいっても、次の日にはうまくいかないこともあります。湿度や小麦の採れた時期などさまざまな要因が影響します。新しいパンを試作してこれでいけると思って本番に作ったら、何か違うということもありました。それでも、何度も繰り返すうちに安定して、同じ味のものが作れるようになります。パン作りは本当に面白いです」と笑顔を見せます。

シンプルで飽きのこないパン

 住宅街の中にあり、常連客が多い一心堂で人気なのは、バケットなどのクラスト(外皮)が固く、パリッとした食感の「ハード系」。シンプルな材料、オーソドックスな製法で作るハード系のパンは、生地そのものの味を味わえます。堀井さんは「シンプルで飽きのこない味わいにこだわり、白米のように、毎日食べても飽きないパンを目指しています」と話します。

 最近では、インスタグラムを見て遠くから買いに来る人もいるそうです。堀井さんは「わざわざ琵琶湖大橋を渡って来てくれる人もいて、ありがたいです」と感謝します。

 

 味、食感、内層、クラストの固さなど、理想のパンを求めて日々研究し、試行錯誤して進化し続ける一心堂のパンが、今日も仰木の里でまちの人を笑顔にします。

一心堂

滋賀県大津市仰木の里東3-8-4

TEL:077-572-7855

定休日:日曜・月曜

営業時間:7:00~17:30(なくなり次第終了)

駐車場無し

インスタグラムのDMで予約可

https://www.instagram.com/issindou_pan/

 

 

取材・文・撮影=山中輝子

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