大津市の特産品「大津百町百福物語」は2015(平成27)年に大津商工会議所が始めた認定制度で、現在までに47点が認定を受けています。
大津が生み出した素材、歴史、文化、技術などに深く関わりを持つものを中心に、「高い品質である」と認められた食品と工芸品を大津商工会議所が「大津百町百福物語」ブランドとして認定しています。
びわ湖大津経済新聞では、地元で愛される「大津百町百福物語」認定商品に携わる人にスポットを当て、特集記事を公開していきます。
【琵琶湖ホテル売店に並ぶ大津百町百福物語の認定商品】
第1回は「大津百町百福物語」について、大津商工会議所の西村綾子さんに話を聞きました。
「大津百町百福物語」を始めたきっかけについて、西村さんは「旅行者が大津土産として買う名物が、これといってあまり浮かばないこと」だったと振り返ります。「埋もれているだけで、大津にはいい商品がたくさんある。知ってもらえるための方法はないかと考え、認定制度を始めました」
江戸時代、東海道五十三次の宿場町でもあり、琵琶湖水運の港町でもあり、三井寺の門前町でもあった大津は、東海道で最も人口の多い宿場町でした。京都に一番近い荷揚げ地で、都に入る前に身なりを整えた場所でもある大津宿は人や物が集まり、町人文化が栄えるにぎやかな町で、その繁栄を「大津百町」と表現していました。江戸時代中期には実際に100の町があったそうです。
「大津のにぎわいの原点でもある大津百町の名と、閉店したお茶の村田園の蔵から出てきた巻物にあった『百福』の文字を合わせ、大津百町百福物語と名付けました」と西村さん。
「大津の歴史ある商品を認定することで、商品を知ってもらうきっかけにしたい」と、毎年9月に募集し、10月に決定し、1月1日に認定式を実施。認定商品は大津駅観光案内所(大津市春日町)と琵琶湖ホテル(浜町)の売店で販売しています。
【2021年度大津百町百福物語認定式の様子】
3月27日には三井アウトレットパーク滋賀竜王(竜王町)で開催された「滋賀マルシェ」に出店し、江戸時代から東海道の名物として旅人が好んで食べた「走り井餅」やレトルトカレー「近江牛カレー超絶」、源氏物語の図柄をプリントした「源氏物語クリーニングクロス」などの認定商品を販売しました。
【三井アウトレットパーク滋賀竜王「滋賀マルシェ」の様子】
西村さんは「歴史はあるが、あまり知られていなかった商品も認知度が上がり、販路が広がったと喜んでいる事業者もいます。これからも大津の魅力ある商品を掘り起こしていきたい」と意気込みを見せます。
次回からは、「大津百町百福豆」「走り井餅」など、認定商品とそれに携わる人を紹介していきます。
大津駅観光案内所
滋賀県大津市春日町1-3 ビエラ大津
TEL:077-522-3830
取材・文=山中輝子