大津市の特産品「大津百町百福物語」は2015(平成27)年に大津商工会議所が始めた認定制度で、現在までに47点が認定を受けています。
大津が生み出した素材、歴史、文化、技術などに深く関わりを持つものを中心に、「高い品質である」と認められた食品と工芸品を大津商工会議所が「大津百町百福物語」ブランドとして認定しています。
びわ湖大津経済新聞では、地元で愛される「大津百町百福物語」認定商品に携わる人にスポットを当て、特集記事を公開していきます。
琵琶湖の形
第3回は琵琶湖の形のクッキー「ビワサクレ」を販売する「菓子工房らん」の宮崎ひろこさんと元田栄三さんに話を聞きました。
こだわったのは琵琶湖の形。宮崎さんは「今まで琵琶湖の形のクッキーがなかったのは、琵琶湖がくびれている琵琶湖大橋のところで折れてしまうから」だと話します。「琵琶湖の形は、分かりやすく滋賀を表現しています。海外にも誇れる琵琶湖を土産にしたい」と何度も試作を繰り返しました。「硬くすれば琵琶湖の形を保つことができますが、硬すぎるとおいしくないという問題が出てきました」と振り返ります。試行錯誤してたどり着いた硬さを、クッキーでもサブレでもない「サクレ」と名付けました。
琵琶湖の形の「ビワサクレ」を手に持つ宮崎さん
大津で作る、大津の土産
「大津にはこれといった土産がない」「大津土産として売られている商品の中には大津で製造していないものが多い」と話すのは、「菓子工房らん」の商品開発、営業担当の元田さんです。
「大津で生まれ育ち、大津に恩返しがしたい」と思っていた元田さん。「大津の土産といえば、ふなずしや日本酒が多く、万人に受けるものがあまりない。若い人や子どもにも喜んでもらえる洋菓子を作りたい」とビワサクレの商品開発を始めました。
「ビワサクレ」は滋賀県産の小麦と国産バター、大津市産の白みそを使っています。1868(明治元)年創業の「九重味噌(みそ)」(大津市中央)の白みそは甘い風味が特徴。白みその甘さとバター、和と洋を合わせて「大津ならではのコラボ」を目指しました。
製造は大津市内の障害福祉サービス事業所「れもん会社」が担当。元田さんは「売り上げは事業所の利用者の給料にもなり、近江商人の心得『三方よし』(売り手よし・買い手よし・世間よし)にもつながります」と話します。
ビワサクレは白みその風味を生かして甘さ控えめ。「ワインとも日本酒とも合い、大人が好むサクレです。大津の代表として広めていきたいです」と話す宮崎さん。
大津の材料を使い、大津で作られている「ビワサクレ」は、2019年10月に「大津百町百福物語」に認定されました。
2020年1月に行われた認定式の様子
ビワサクレは大津駅観光案内所、サイクルステーション大津港o-portable、道の駅琵琶湖大橋 米プラザなどで販売中。
大津駅観光案内所
滋賀県大津市春日町1-3 ビエラ大津
TEL:077-522-3830
菓子工房らん
https://biwasakure.storeinfo.jp/
取材・文=山中輝子