特集

大津百町百福物語 Vol.22 大津の棚田米で造った日本酒「北船路」

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大津が生み出した素材、歴史、文化、技術などに深く関わりを持つものを中心に「高い品質である」と認められた食品と工芸品を大津商工会議所が「大津百町百福物語」ブランドとして認定しています。

2015(平成27)年に大津商工会議所が始め、現在までに55点が認定を受けています。

びわ湖大津経済新聞では、地元で愛される「大津百町百福物語」認定商品に携わる人にスポットを当て、特集記事を公開していきます。

棚田で栽培された酒米で造る日本酒

第22回は平井商店(大津市中央1)の日本酒「純米吟醸 北船路」。

比良山系の蓬莱山の麓にある北船路(大津市八屋戸北船路地区)の棚田で栽培された酒米で造る日本酒です。

日本酒「北船路」は、龍谷大学社会学部の脇田健一ゼミが2010(平成22)年から2017(平成29)年まで取り組んでいたプロジェクト「北船路米づくり研究会」のプロデュースで2014(平成26)年に生まれました。琵琶湖と朝日をイメージしたラベルも学生がデザインしました。

平井商店社長で杜氏の平井弘子さんは「父が龍谷大学のイベントが開催された北船路に行った時、棚田のロケーションがよくて、ここで酒米を栽培してもらいたいと思ったそうです。以前から大津市内で栽培された米で酒を造りたいと考えていましたが、農家と直接つながる機会がなく実現しませんでした。大学生に紹介してもらったおかげで市内の農家と知り合うことができました」と振り返ります。

同じ米でも栽培する場所によって味が変わり、北船路で栽培した米で造るとやや辛口でドライな酒になるということです。

大津で日本酒を造り続ける

平井商店は大津で350年以上の歴史がある蔵元。

弘子さんは大学で建築を専攻し、就職活動をしていた時に祖父が亡くなり、家業の手伝いをするために実家に戻ってきました。

弘子さんは「それほど強い決意はなく、実家の手伝いという気持ちで始めましたが、すでに16年がたちました。結婚して夫と一緒に日本酒を造り、今年からは夫婦だけで造るようになりました。酒は生き物なので楽しく、没頭できる仕事」と話します。

父親である17代目平井八兵衞さんに習いながら修業を積み、酒造りの最高責任者である杜氏となった弘子さん。社長に就任し、18代目平井八兵衞の名を継ぐ決意をしました。

これからも大津の地で、大津の米を使い、日本酒を造り続けます。

「北船路」は平井商店と、大津駅前観光案内所、道の駅妹子の郷(さと)で購入することができます。

平井商店

滋賀県 大津市中央1-2-33

077-522-1277

営業時間 10時~18時30分

 

取材・文=山中輝子

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