特集

大津百町百福物語 Vol.24 日本料理 新月「名物しぐれ煮二段重」

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大津が生み出した素材、歴史、文化、技術などに深く関わりを持つものを中心に「高い品質である」と認められた食品と工芸品を大津商工会議所が「大津百町百福物語」ブランドとして認定しています。

2015(平成27)年に大津商工会議所が始め、現在までに55点が認定を受けています。

びわ湖大津経済新聞では、地元で愛される「大津百町百福物語」認定商品に携わる人にスポットを当て、特集記事を公開していきます。

取肴で季節を感じる「近江牛のしぐれ煮二段重」

第24回は日本料理 新月(大津市石山寺1)の「名物しぐれ煮二段重」。

一の重は季節の取肴(とりざかな)と季節の炊き合わせ、二の重は近江牛のしぐれ煮重です。

一の重を開けた瞬間、エビと赤コンニャクの赤、アユの土佐煮とサワラの黒、卵焼きとチョウの形に飾り切りされたサツマイモの黄色、インゲンの緑、サトイモの白…色とりどりの取肴と季節の炊き合わせが目に飛び込んできます。

取肴とは、主人が自ら漁猟したものや珍しいものなどを主人が取り分けて勧める酒の肴(さかな)のこと。新月では滋賀県産の食材を中心に旬のおかずを提供しています。「五味五色」を意識して、色だけでなく、甘い、塩辛い、酸っぱい、苦い、辛いの五味を感じられるようにしているそうです。

「『おいしかった』『おなかいっぱいになった』だけで終わらず、いろいろな味で食べる人の舌を満足させたい」と話す店主の和田博さん。

「五感で季節を楽しんでもらうのが料理人の仕事」との思いで、季節の野菜の炊き合わせには木の芽を添えています。冬はユズを添えていたそうです。

「弁当は盆栽みたいなもの。小さな箱の中で完成するので達成感がある。ふたを開けた瞬間に笑顔になってもらえたら料理人冥利(みょうり)に尽きる」と話します。

二の重にはショウガを利かせた近江牛のしぐれ煮をご飯にのせたしぐれ煮重です。

瀬田川沿いの四季折々の景色共に味わう懐石料理

元々は石山寺の門前宿として営んでいた新月。1970(昭和45)年の大阪万博の時は旅行客でにぎわっていたという。和田さんは「先々代が旅館として始めたが、旅館をしては商売が成り立たず、昭和の終わり頃に料亭にした。その頃は『自分の料理で客を呼ぶ』という気概でやっていた」と振り返ります。

新月では滋賀の旬の食材や四季折々の山の幸、海の幸を使った懐石料理を提供しています。和田さんは「どうやって喜んでもらおうかと考えるところから始めます。料理はもちろん、生け花や床の間の飾りなど舞台作りから始まり、予約の30分前にお香をたいて残り香を楽しんでもらえるようにしてお客さまを出迎えます」と話します。

新月は瀬田川に面していて、窓からは春は桜、夏は紅葉、冬は比叡山に積もる雪を見ることができます。和田さんは「瀬田川の景色を借景にしています」と笑顔を見せます。

「料理を作り、職人で人生を終えたい。自分の作ったもので人を喜ばせたい」と意気込みを見せます。

価格は3,780円。テイクアウトのみ。

日本料理 新月

新月ホームページ

大津市石山寺1-3-3

077-537-1436

営業時間 11時30分~21時

 

 

取材・文=山中輝子

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