滋賀県で「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ(第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会)」が開催されました。
国スポでは、滋賀県選手団が男女総合成績・女子総合成績ともに1位となり、44年ぶりに天皇杯・皇后杯を獲得しました。



国スポ選手強化への取り組み
国スポは9月28日~10月8日、障スポは10月25日~27日に県内各地で開催されました。滋賀県での第79回国民体育大会(第78回大会から「国民スポーツ大会」に名称変更)開催が内々定したのは、2013(平成25)年。当初は2024年開催の予定でした。
滋賀県は2015(平成27)年3月に競技力向上対策本部を立ち上げ、選手の強化に乗り出しました。当初の開催予定だった2024年に少年の部で主力となる高校3年生(競技によっては1・2年生)を「ターゲットエイジ」とし、強化を図りました。
ターゲットエイジ強化練習の様子(2020年男子バスケットボール ターゲットエイジ)
しかし、コロナ禍の影響で2020年に開催予定だった鹿児島国体が中止となり、2023年に特別国民体育大会として開催。滋賀県での開催は2025年に決定しました。
当時について、競技力向上対策室参事の中島秀徳さんは「1年ずれると、2024年に少年の部で主力となるはずだった選手が成年の部での出場となる。残念な思いもありましたが、その世代は2024年の佐賀国スポを目指そうと支援し続けました」と振り返ります。
スポーツ特別指導員
県内の選手の育成と併せて、県内外の選手をスポーツ特別指導員として採用。スポーツ特別指導員として採用した高島市出身の内田弦大選手はトライアスロン競技で優勝しました。

中島さんは「選手自身が活躍するだけでなく、少年世代の指導を担ってもらいました。日本でもトップクラスの選手の指導を受けたことで、技術の向上はもちろん、メンタル面やスポーツに取り組む姿勢を身近に見たことは地元の選手のプラスになり、指導者も刺激を受けました」と話します。
特別指導員は滋賀県選手団の選手の指導だけでなく、クライミングの体験会などにも参加しました。「クライミングを体験した小・中学生は興味を持ってくれて、大会当日も応援に駆け付けてくれました。特別指導員は、スポーツのすそ野を広げる役割も果たしてくれた」と喜びます。
国スポのレガシー
国スポ・障スポ開催のため、県内各地に滋賀ダイハツアリーナや草津市立プールなどスポーツ施設が新設されました。

草津市立プールは、通年利用できる50メートルプール、25メートルプール、飛び込み競技用プールの温水プール3面を備えています。飛び込み台だけでなく、着水時に水面で受ける衝撃を和らげるために気泡を発生させる「バブルマシン」もあり、地下には陸上練習ができる「ドライランド」も設けました。

「練習する場所ができたことで、トップクラスの指導者と選手が草津に通うようになり、地元の選手の育成環境も整い、地元出身の選手を育てることができる」と話す中島さん。「国スポのレガシーは、施設、競技力の向上だけでなく、競技団体が力を付けたこと。スタッフが集まり、指導力が上がったことが各団体にとって財産」と話します。
取材・文=山中輝子