日本一パンの消費量が多いまち・大津市で、パン作りに関わる人や店を紹介します。
2016~18年食パンとそのほかのパンの合計消費量が47都道府県の県庁所在地と指定都市の中で大津市が1位。年間の平均消費量は55.6キロで全国平均を24%上回っています。(総務省家計調査)
パン好きのまち、大津市で15年。大津駅近くのパン店「Trois rangée(トロワランジェ)」は、毎日通う常連客や地元の人に愛されて、今日もにぎわっています。
日常に溶け込むパン店
店名の「トロワランジェ」は、店主・大宮達二さんの子どもの名前にちなみ、フランス語の「Trois rangéed’arbres(三本並んだ木)」から付けたそうです。木をイメージしたロゴマークが目印です。
大宮さんは京都のパン店のパン部門で7年、製菓部門で7年、計14年間修業して、2006(平成18)年4月、大津のまちにパン店を開店しました。滋賀県に出店したきっかけは、「琵琶湖が好きだから」。トロワランジェから琵琶湖までは歩いて10分ほど。琵琶湖に近い大津駅の前に店を構えました。
近くには滋賀県庁や多くの会社があり、毎朝大津駅から歩いて出勤途中にパンを買う人が多いそうです。大宮さんは「毎朝のルーティーンに溶け込めているのがうれしい」と話します。
店内には牛すじカレーパンやサンライズ(メロンパン)、タルト、クロワッサン、アンパン、クリームパンなど毎日100種類ほどのパンが並びます。
大津市在住の女性は「大人も子どもも好きな食べやすいパンがそろっています。種類も豊富で次はこれを食べようと通うのが楽しみになります」と話します。
ケーキ作りの経験を生かしたパン作り
大宮さんが7年間製菓部門で働いたのは、「パン屋を開店するためにケーキ作りの経験を生かしたい」との思いから。「カスタード一つ取っても、ケーキ店とパン店では製法が違う」という。「ケーキ店で学んだ製法で作るカスタードは柔らかく扱いづらいが、おいしく仕上がります。パンの修行だけでは学ぶことができなかった技術が身に付きました」と話します。
クリームパンのクリームやデニッシュのフィリングなど、出来合いのものは使わずに全て手作りにこだわっています。
フィリングだけでなく、パンの食感にもこだわり、ふっくらと焼きあがるデッキオーブンと、さっくりとした食感に焼き上がるコンベクションオーブンを使い分けています。熱風を循環させて焼き上げるコンベクションオーブンで焼くことで、デニッシュやクロワッサンの生地がサクサクの食感になります。
秋から店頭に並ぶデニッシュも、大宮さんのこだわりが詰まっています。アーモンドクリームの上にリンゴのフィリングをのせた「焼きリンゴのデニッシュ」やネーブルオレンジをのせた「ネーブルオレンジのデニッシュ」(以上194円)、生クリームとマカダミアナッツ、カシューナッツ、クルミをキャラメリゼした「キャラメルナッツ」(151円)など、季節限定のデニッシュが並びます。
朝は通勤客、昼は昼ご飯を買い求める会社員で、午後は次の日の朝のパンを買う地元の人でと一日中にぎわう「トロワランジェ」。今日も100種類のパンとスタッフの笑顔がまちの人を出迎えます。
トロワランジェ
滋賀県大津市梅林1丁目3-4
TEL: 077-523-3745
定休日:土曜・日曜・祝日
営業時間:7:30~19:00
取材・文・撮影=山中輝子