滋賀県立芸術劇場「びわ湖ホール」(大津市打出浜)で4月29日~5月1日、「ラ・フォル・ジュルネびわ湖2016」が開催され、過去最高となる5万人を超える来場者でにぎわった。
最終日の1日は大ホールで4公演、中・小ホールで各3公演が行われたほか、「0歳児からのコンサート」なども開かれ、会場には家族連れの姿も多く見られた。
ミハイル・ゲルツさん指揮、アンヌ・ケフェレックさんのピアノと大阪フィルハーモニー交響楽団による最終公演では、「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」とモーツァルト最晩年の作「ピアノ協奏曲第27番」が演奏され、穏やかで澄み切った美しい音色が観客を魅了した。
最終日の記者会見にはびわ湖ホール理事長の山中隆さん、アーティスティックディレクターのルネ・マルタンさん、同プロデューサーの梶本眞秀さん、滋賀県の三日月大造知事が出席した。
山中理事長は「15時半の時点で過去最高の4万9022人の来場となっている。5万人超えは間違いない。有料公演の来場者も2万人を超えており、これも過去最高の数字となっている。今年は天気にも恵まれ、お客さまも遠来のアーティストの方も含めて、琵琶湖畔の自然と音楽を満喫していただけた3日間だったと思っている。昨年全国の高校文化祭を同会場でしたご縁もあり、初日が奈良、2日目が大阪、最終日は京都の高校にトップバッターを飾ってもらうことができた。県内の高校も書道パフォーマンスや湖畔での吹奏楽演奏で大活躍をしてくれた。このようなうれしい発表ができて幸せ」と笑顔で語った。
三日月知事は「3日間素晴らしいイベントを作っていただいた。ナチュールというテーマがこの滋賀、びわ湖ホールにぴったりのものだった。港でのウエルカムコンサートなど関連イベントの充実も、過去最高の来場者につながったのではないかと考えている。今後の課題は次世代にしっかりとイベントを伝えていくこと。滋賀県では新しい豊かさをつくるという基本理念をもって政策を進めている。今だけではなく、ものだけではなく、お金だけではなく、自分の豊かさだけではない、新しい豊かさというもの。そのツールとしてこの文化・芸術というテーマは心で豊かさを実感できる素晴らしいもの。このいいイベントをもっと県内外の皆さんに楽しんでいただけるイベントになるような取り組みをしていければ」と今後の抱負も含めて感想を述べた。
梶本さんは「駅からこちらに来たが、車の中からも人が集まって楽しんでいる様子が見られた。まさにマルタンが考えた音楽芸術の世界がここにあると、うれしく思った。子どもから年配の方までさまざまな世代の方がここで一緒に楽しんで曲を聴いている、まさに『ラ・フォル・ジュルネ』だと思った。テロや、戦争、経済的な問題など悲観的になる話題が多い中、それでも生きていかなければならない私たちが、音楽を通じて、生きているのはいいことだなと、人が幸せを感じられる場所をここが提供しているなと感じた。これからもさらに大きく広がるように願っている」と話した。
マルタンさんは「今日会場に着いてすぐいくつかのコンサートを見たが、若い方、家族連れも多く、また若いブラスバンドの方たちがこれだけ積極的に参加しているのは本当に素晴らしい。今までは作曲家に応じてテーマ設定をしてきたが、今回は初めて音楽を全体で見渡せる『自然』というテーマを作った。周りの人々はそのテーマ設定に懸念も示したが、今回の成功を受けて、芸術が自然を構成する要素や、日々の生活に密着したものになり得るという手応えを感じた」と話し、「来年のテーマは『ダンス・踊り』。お祭りのような踊りに満ちた音楽をこのびわ湖の見事な眺めの中で体現できたらどんなに素晴らしいものになるか」と熱く語った。
5月22日には関連イベントとして、「ルシオール・アートキッズフェスティバル」が守山市内で開催される。