虐待や貧困などの理由で親元を離れ施設で暮らす若者たちが自身の体験を語り、音楽を通して支援を広げていく「ドリームライブ2019」が1月12日、草津のアミカホールで開催され、330人が来場した。
企画運営は、守山で虐待や貧困など、親の支えがなく生活が難しい15歳から20歳の若者たちを支援する認定NPO法人四つ葉のクローバー。県より認可された児童福祉施設で、自立援助ホームとして2015年から守山市でシェアハウスの提供や施設退所後の若者たちの訪問支援などをしている。ドリームライブは5回目の開催。
理事長の杉山真知子さんは、開会のあいさつで「ボランティアで関わっていた施設の子どもたちに『おばちゃんの子にしてほしい』と泣かれた際に『おばちゃん、大きなおうち作って待ってるな』と約束してできたのが四つ葉のクローバーのシェアハウス。現在シェアハウスを卒業した若者は14人、入居者は6人。あの時『大きなおうちをつくって待ってるよ』と約束した幼稚園児はこの春中学生になる。彼がどんな人生を歩んでいくか分からないが、四つ葉のクローバーのシェアハウスも一つの選択肢になればいいかなと思っている」と述べた。
第1部のフォーラムでは、学校とシェアハウスを卒業し県内の企業に勤めている当事者の若者2人が登壇。トークセッションが行われ、虐待やいじめなど、若者自身の体験を「死ぬ勇気があるなら、死にものぐるいで生きよう、そう思って生きてきた」「独り立ちしてうまくいかなくなった時、『病気や障がいは、体と心の調子にただ名前が付いているだけ』と声掛けしてもらえ救われた」と振り返りながら、「これからは同じ境遇の子どもたちを助けていきたい」と今後を語った。
第2部では不登校経験のあるメンバーで立ち上げたバンド「JERRYBEANS」、手話と歌で伝えるシンガー・ソングライターのYOKKOさん、同NPOとの出会いがきっかけで四つ葉のクローバーのテーマソングを作詞作曲しためぐみさんらが登壇し、演奏した。
栗東市から親子で参加した松村美智子さんは「パネリストの卒業生の話を聞いて、こんな近くに生活支援が必要な若者がいるんだと驚いた。この若者たちに気を使わせることなく支援するにはどうしたらいいのかをずっと考えながら聞いていた。もっと広く世間に知ってもらい皆で見守っていける世の中になってほしい。来年も参加したい」と話す。
NPO法人四つ葉のクローバーでは、若者の就労支援としてギョーザの製造販売や若者たちのための「みらい基金」なども立ち上げており、寄付や購入を呼び掛ける。