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栗東に人と馬の福祉施設 子どものホースセラピーと引退競走馬支援

山本高之さんと「メイショウナルト」

山本高之さんと「メイショウナルト」

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 引退した競走馬支援と障がいのある子どものホースセラピーをする「TCCセラピーパーク」が5月1日、栗東市六地蔵にオープンした。運営は「TCC Japan」。

運動をする「ハリケーンバローズ」

 TCC Japan社長の山本高之さんは2006(平成18)年に東京で起業したが、2011(平成23)年の東日本大震災を経験し、地元の栗東で地域貢献をしたいと思うようになる。山本さんは「栗東で生まれ育っても、馬を見たことがなかったが、県外に行くと栗東といえば馬というイメージで、ギャップを感じていた。栗東の地域資源でもある馬を町のために活用できないかと考えた」と話す。2015(平成27)年9月に放課後等デーサービス「ポニーキッズ」を開所し、6~18歳の支援が必要な子どものために馬を活用した療育(ホースセラピー)を始めた。

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 乗馬することで筋力の向上、情緒面の安定などの効果がある。山本さんは「ほかのアニマルセラピーと大きく違うのは、馬が大きな動物だということ。引いて歩くだけでも『大きな動物が自分の言うことを聞いた』という自信につながる。普段は車椅子に乗っている子どもが馬に乗ると視線が高くなり、自信が持てる」と話す。

 「馬の世話をすることで、子ども同士がコミュニケーションを取れるようになった。ほうきや一輪車などの道具を使い作業することで手先が器用になる効果も出ている。多動傾向のある子も乗馬中は本能的に注意力が上がる。ホースセラピーを通して子どもたちの成長を感じる」と話す。6月からは3~5歳児の発達支援事業も開始した。

 「馬の福祉」のために、引退した競走馬の「ホースシェルター」を作りたいと「TCCセラピーパーク」を開園。現在は引退した競走馬6頭とポニー5頭を飼育。競走馬のうち4頭は引退直後の馬で、けがの治療をしている。治療後、セラピーホースや乗馬できる馬に教育し直し、全国の乗馬クラブに預ける。山本さんは「JRA栗東トレーニングセンターには2000頭のサラブレッドがいる。人間の興行のために作られた競走馬は、早ければ3歳で引退するが、馬の寿命は30年程度。引退後、行く場をなくして行方不明になる馬が後を絶たない。ホースシェルターで休養し、馬のセカンドキャリアを見つけて全国の牧場に預けたい」と話す。

 広報担当の高田衛さんは「レースで走らなかった馬は、気が優しく、人懐っこくてセラピーホースに向いている。今、この施設で救えているのは、引退馬のうちほんの少しだが、サラブレッドの新しい生き方として草の根で活動していきたい」と話す。

 TCCJapanは、引退馬ファンクラブ「TCC FANS」を運営。一口オーナーとして引退競走馬を支援する仕組みで、「メイショウナルト」「ストリートキャップ」などの27頭の「TCCホース」の共同オーナーになり、TCCセラピーパークのほか全国の牧場に預けられている馬に触れ合い、乗馬することができる。山本さんは「乗馬を体験できたり、競走馬時代からファンだった馬の共同オーナーになれたりすることで、馬との距離が近くなる。馬好きを増やすきっかけになれば」と話す。

 同施設はTCC FANS会員のみ見学できるが、29日は「オープンデー」を実施。会員以外も見学できる。オープンデーの開催時間は10時~16時。

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