新型コロナウイルス感染拡大防止のために小・中学校が休校になった影響で余った給食の材料を預かり、必要としている施設に無償で提供する取り組みを「フードバンクびわ湖」が始めた。
野洲市は3月4日からの休校中も学校での預かりを実施し、給食の提供をしているが、出席者は小学校で約30%、中学校で約5%となり、1日当たり約1900人分の給食が余る。9日分からの発注は減らすことができた食材もあるが、4~6日の3日分はすでに納入済みだった。野洲市学校給食センターの所長遠藤美穂子さんは「牛乳は賞味期限が短いので破棄しようかと考えたが、なんとかできないかと野洲市が協定を結んでいるフードバンクびわ湖に連絡して、牛乳を引き取ってもらえることになった。食材を廃棄するのは心が痛く、違う形でほかの人に提供できるのはありがたい」と話す。4日、5日合わせて6000本の牛乳と、イカフライ13箱、タマネギ85キロなどが野洲市給食センターからフードバンクびわ湖に寄付された。
フードバンクびわ湖は2018(平成30)年から活動を始め、企業や家庭の余剰品を集めて無償で提供している。共同代表の堀豊さんは「今回の休校要請が発表されたときに、すぐに学校給食の食品ロスが出ると思い、各市の市議や市職員に連絡した。3トンの冷凍車を借りて野洲市、東近江市、甲賀市、高島市の給食センターを回り、食材を引き取っている。誰かが本気で動かないと食品ロスがなくならない」と話す。5日は3トントラック3杯分の食材を集めた。
集めた食材は休校措置によって朝から子どもを預かっている放課後等デイサービスや託児をしている施設、介護施設などに無償で提供する。5日にフードバンクびわ湖の食品保管場所であるFuturelab(守山市吉身)に牛乳800本を受け取りに来た放課後等デイサービスなないろ(大津市大平)の大和幸子さんは「昨日、堀さんから連絡があり、大津と草津のデイサービスを取りまとめて、4件分の牛乳と食材をもらいに来た。手作りの給食を提供しているので、とても助かっている」と話した。
NPO法人「好きと生きる」の理事林ともこさんは「長浜市で不登校の子どものための施設を運営している。休校措置を受け、普段来ている子ども以外も預かっている。お昼ご飯を提供しているのでありがたい。走り回ってくれる堀さんに感謝している。食べる時に、食材がどのようにして届いたか子どもたちに話している。不登校の子どもたちは大人の嫌な部分も見ているので、子どものために一生懸命動いてくれる大人たちもいることを知ってもらえれば少しでも大人を信じられるかもしれない」と話す。