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大津の西教寺で幻の坂本菊御膳 「坂本菊を食べないと秋が始まらない」

菊なます、菊の天ぷら、菊ずし、菊のゼリーなど菊ずくめの「菊御膳」

菊なます、菊の天ぷら、菊ずし、菊のゼリーなど菊ずくめの「菊御膳」

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 比叡山山麓でのみ栽培される「坂本菊」を使った「菊御膳」の提供が11月8日、西教寺(大津市坂本)で始まった。

坂本菊の花と葉の天ぷら

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 坂本菊は比叡山延暦寺(えんりゃくじ)を開いた最澄が唐から薬用として持ち帰り、坂本に住む人々が栽培し育てていた。ほかの地域で栽培される食用菊とは異なり、花が大きく5センチほどあり、花弁が筒状になっている。坂本以外の土地で育てると花弁が筒状にならず、坂本のみで栽培されてきた。「菊を食べないと秋が始まらない」と言われるほど地元に根付いていたが、連作ができず、頻繁に水やりが必要で栽培に手間が掛かることから生産者が減少。約35年前に坂本菊を残すために地元と協力し、西教寺で坂本菊を使った料理の提供を始めた。

 食前酒からデザートまで全てに菊を使い、伝統的に食べられてきた「菊なます」や菊の花と葉の天ぷら、菊ずしなどを提供する。今年は初めて「菊のあんかけまんじゅう」を提供。小芋で作ったまんじゅうに菊のあんをかけて仕上げた。料理長の坂田正幸さんは「小芋のねっとりとした食感と甘みに菊のあんがよく合っている」と話す。

 今年は台風が直撃しなかったことから花が大きく育った。坂田さんは「毎年、花を見てゆで時間などを決めている。ゆで過ぎず、しゃきしゃきとした食感を出すために試行錯誤している。坂本菊の天ぷらは温度調節が難しい。花の軸も召し上がっていただけるように揚げているが、揚げすぎると花弁が茶色くなってしまう。花と葉は温度を変えて揚げている。花を扱うのは難しいが、毎年食べに来られるリピーターも多く、これからも西教寺といえば菊料理と言われるように長く作り続けていきたい」と話す。

 西教寺の主事補、前阪良樹さんは「坂本菊を生産する農家も減っている。限られた場所で、限られた量しか作ることができないが、求めているお客さまがいるので、坂本菊を栽培できるように手を尽くしている。季節のものとしてこれからも西教寺で提供できるように頑張りたい。まずは菊の花を目で楽しんで、香りを楽しみ、食感、菊の風味を楽しんでいただければ」と呼び掛ける。

 提供時間は12時~13時30分。価格は2,750円。西教寺の拝観料500円が別途必要。1日150食限定。要予約。11月末までを予定しているが、坂本菊がなくなり次第終了。

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