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琵琶湖博物館が平安神宮、オムロンと絶滅危惧種イチモンジタナゴ保全協定

絶滅危惧種のイチモンジタナゴ

絶滅危惧種のイチモンジタナゴ

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 琵琶湖博物館(草津市下物町)は3月30日、平安神宮(京都市左京区)とオムロン野洲事業所(野洲市市三宅)とそれぞれの間でイチモンジタナゴの保全に関する協定を締結した。

 イチモンジタナゴは国のレッドリストで絶滅危惧IA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)に指定されている。体の側面から尾びれにかけて青緑色の長い縦条があり、「一文字」の名の由来となっている。1980年代中ごろまでは琵琶湖でも数多く生息していたが、湖岸の開発による生息環境の悪化や外来種の増加、イチモンジタナゴが卵を産み付ける二枚貝の生息状況の悪化や、観賞用の魚として業者が乱獲したことなどにより激減し、1980年代終わりには琵琶湖ではほとんど見られなくなった。

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 イチモンジタナゴは琵琶湖から水を引いている平安神宮の神苑(しんえん)の池にも生息。琵琶湖博物館は1988(昭和63)年から3回、平安神宮からイチモンジタナゴを譲り受け、保護増殖センターで系統保存を続けている。しかし、平安神宮の池にヘドロが堆積し、イチモンジタナゴが卵を産み付ける二枚貝が減少したことから、2013(平成25)年ごろからは平安神宮のイチモンジタナゴも減少し始め、2019年には全く確認ができなくなった。2019年6月から9月にかけてアクティオ(東京都)がボランティアで池のヘドロを除去。秋に琵琶湖博物館からイチモンジタナゴを導入し、生育環境を調べている。

 オムロン野洲事業所は、2011(平成23)年に工場敷地内にビオトープ池を造成し、イチモンジタナゴと二枚貝の飼育を始めた。社員や地元小学校などとの環境学習を進めながら生息域外保全活動を継続している。

 琵琶湖博物館の金尾滋史さんは「今までは学芸員の研究の一環として協力していただいていたが、メンバーが変わっても続けていけるように、協定を締結して組織としてイチモンジタナゴの保全に取り組むことになった」と話す。

 「イチモンジタナゴは二枚貝に卵を産み付けるが、その二枚貝の幼生はドジョウやヨシノボリ類などの魚に一時的に寄生して栄養をもらう。生態系全体が整わないとイチモンジタナゴは生息できない。協定を締結することで終わるのではなく、今後も改良を積み重ね地域や企業、神社との関係を深めて、生息域外保全を続けていきたい。イチモンジタナゴが再び琵琶湖で普通に見られる環境づくりを目指していきたい」と今後の展望を語る。

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