滋賀県在住の講談師、旭堂南風(きょくどうなんぷう)さんの講談ライブ「旭堂南風 年季明けを祝う会」が5月29日、草津アミカホール(草津市草津)で開催される。
左から旭堂南慶さん、旭堂南鈴さん、旭堂みなみさん、旭堂南風さん
旭堂南風さんが講談と出合ったのは48歳の時。FMくさつでパーソナリティーを務めていた南風さんは司会の仕事をした際に「ステージの真ん中に立ちたい」と思い立ち、演劇を始める。劇作家で演出家のあごうさとしさんが主宰するグループに入り、舞台出演時に共演者に刺激を受ける。南風さんは「ダンスを専門にしている人、芝居を専門にしている人などがいる中で、自分は何かと自問自答した。芯となるものがないと痛感し、声を生かした何かがしたいと思った」と振り返る。
「芯のあるものは何かと考えた時、日本の伝統芸能だと。落語は人口が多く、この年からは難しい。浪曲は音痴なのでできなかったが、講談塾の見学に行って、これだと感じた。歴史が好きで、内容も面白く、1人でできるのもいい」と話す。
「アマチュアとして楽しむこともできたが、年齢も年齢なので悠長なことは言っていられない。やるなら本気」とすぐに旭堂南陵さんに弟子入りを志願した。2018(平成30)年5月5日に「旭堂南風」の名をもらい、着物の畳み方から学び、「空板」と呼ばれる本番前の舞台でネタを披露して修業した。「厳しいけれど愛のある修業期間」を過ごしていた2020年7月30日、師匠の南陵さんがすい臓がんで死去。一門の先輩に稽古をつけてもらい、今年5月5日が修業期間の終了する「年季明け」となる。年季明け講演には一門の先輩である旭堂みなみさん、旭堂南慶さん、旭堂南鈴さんも出演する。
南風さんは修業期間中も滋賀から大阪まで通い、現在も滋賀に在住。滋賀県在住の唯一の講談師となった。南風さんは「滋賀は歴史の宝庫。滋賀に住んで、滋賀に関するネタを披露していきたい」と話す。「講談は滋賀をPRするコンテンツ。歴史を楽しく学べる。滋賀のことを知ってもらい、興味を持ってもらうきっかけになれば」と、「年季明けを祝う会」では本能寺の変の後日談「明智左馬之助 湖水渡り」と、「太田道灌 山吹伝説」「本能寺の変 謀反のきっかけ」の滋賀に関する古典3本を披露する。今後は新作ネタも作る予定。「地元の有名人からローカルヒーローまで、滋賀の人に喜んでもらえる地元のネタを作っていきたい」と意気込みを見せる。
「人と交わることが減っている昨今、寄席に集まった人同士の新たなつながりが生まれたらうれしい」とも。
開演時間は14時。入場料は前売り=2,000円、当日=2,500円。旭堂南風さんのホームページで予約を受け付ける。新型コロナウイルス感染症対策を取った上で開催する。