キャリアデザインを学び、仕事を体験する「就業力育成演習」の成果発表会が7月13日、成安造形大学(大津市仰木の里東)で開かれた。
演習はフリーアナウンサーの牧田もりかつさんとデザイナーの八田泰成さんが講師を務め、就業に向け、具体的な目標を設定し課題に取り組むキャリアデザイン科目の授業で、2年生72人が履修している。同大学の卒業生で、ウエスト(近江八幡市)でディレクターとして働く永野愛果さんが5月からゲスト講師を務めた。4月にオープンした妊婦から乳児を育てる母親向けの情報サイト「シガマンマベビー」に記事を投稿するという課題を出し、学生が与えられたテーマやターゲットに合わせた情報を調べ、記事にして提出。永野さんをはじめとするウエストのスタッフが添削し、そのうち66件の記事が採用され、サイトで公開されている。
成果発表会では、18班に分かれ、班ごとに与えられたターゲット企業に向けた「シガマンマベビー」の営業ツールを作成し、プレゼンテーションした。各班は「歯科医院」「未就学児の習い事」「リフォーム会社」などのテーマごとに営業先リストを作り、その企業にどうアプローチをするかを考え、チラシやはがき、インスタグラムなどの営業ツールを作成。発表会では、「シガマンマベビー」の特徴や読者層、営業先の企業にとってのメリットなどを分析して営業ツールを作る班もあった。
永野さんは「私も学生時代に就業力育成演習を履修したが、企業に向けての発表はなかったので、今回履修した学生たちはプレッシャーも感じたと思う。課題も多く出したが、ほとんどの学生が提出してくれた。営業ツールを作るために、調べて、ニーズを考え、相手の気持ちになって分析し、班で話し合って、それぞれの得意なことを生かして一つの物を作るのは、社会経験に近く、いい経験になったと思う」と話した。
牧田さんは「実際のビジネスを想定し、ウエストはクライアント、私たち講師は上司だと思って、どのように提案できるかを課題にした。永野さんは今年の3月に卒業したばかりで、社会で活躍している先輩。同じことを話すのでも、学生に近い先輩が話すほうが学生の心に刺さることもある」と話す。
八田さんは「班分けの時に、それぞれに得意なことを聞き取り、違う能力、違う領域(専攻)の人をグループにした。ほとんど初対面の人とグループワークをすることで、多様な考え方に触れることができたと思う」と振り返る。
「デザインはセンスではなく、経験と裏付けが大事。技術はやれば身に付くが、それだけでは『芯を突く』デザインはできない。グループで集まったときに、一つになれるかなれないかが重要で、役割分担がしっかりしているところは成果物もよかった。課題の解決には人の持つ感情を知り、相手のことを考えることが必要。課題が多く大変だったと思うが、数年後に、あの授業が役に立っていると少しでも思ってもらえれば」とも。
総合領域2年の佐藤裕紀乃さんは「授業を受けてみて、就職活動のハードルが下がった。グループワークは、リーダーとして皆の意見を確認し、行き違いがあったら直して、意見のすり合わせに時間をかけた。一つの物を皆でデザインするのは初めてだったので、いい経験になった」と話した。