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葛川中学2年生「廃校危機を救いたい」 山間地域の魅力を伝えるガチャガチャ作り

葛川中学2年の生徒が山間地域の問題解決に取り組む

葛川中学2年の生徒が山間地域の問題解決に取り組む

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 葛川中学校(大津市葛川中村町)の2年生が現在、葛川小・中学校の廃校の危機を救うためのプロジェクト「葛川・久多の自然ガチャ」を実施している。

四季折々の自然が感じられる葛川・久多地域

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 大津市の北部の山間部にある学校で、生徒数は小学校24人、中学校14人。地元の児童・生徒だけでなく、隣接する京都市左京区の久多地区からと、2018(平成30)年度から導入した小規模特認校制度を使って大津市内の学区外の地域からも通学している。

 同校の児童・生徒は、2013(平成25)年から懇話会「地域のためにできること」を実施し、過疎化が進む山間部の課題と向き合ってきた。2018年から3年間、区域内の小学1年生の入学児童がゼロとなったことから、多くの人に地域のことを知ってもらい(Know)、来てもらい(Come)、住んでもらう(Live)ための取り組みとして、「KCLプロジェクト」を始めた。

 小学校と中学校が同じ敷地内にあることから、9年間で「KCLプロジェクト」に取り組み、小学校低学年は地域のことを知り、中学年で調べ、高学年で考え、中学校で行動に移すことを目標としている。2019年度の生徒が「KCLプロジェクト」のウェブサイトを作り、2020年度の生徒が葛川にゆかりのあるベニバナを使った商品開発をした。本年度の中学3年生は林業で木材を運ぶ時に使われていた「いかだ流し」を再現し、地元の「水文化」を発信した。

 中学2年の勝田泰斗さん、桂涼葉(すずは)さん、永原たびとさん、樋口翼咲(つばさ)さんの4人は、小学6年の時に「楽しみながら葛川・久多を知ってもらいたい」と地域の魅力を伝える「ガチャガチャ」の制作を始めた。段ボールで本体を作り、手作りの髪飾りや押し花のしおり、ストラップ、パズル、スタンプを入れて文化祭で地域の人に披露した。中学1年時には、はんこ店の田丸印房(京都市)の協力を得て、スタンプの制作に取り掛かった。

 樋口さんは「田丸さんに誰に何を届けるのかを大切にしたほうがいいと教えてもらった」と話す。イラストも中学生が描き、「葛川・久多の魅力である自然を表現したい」と、春はウツギ、夏はユリ、秋はナメコ、冬はフキノトウをデザインしたスタンプを制作した。スタンプを和紙に押してレジンストラップも作り、ガチャガチャに入れる予定。

 実際にガチャガチャを作るために、資金が足りないという課題に直面した中学生は、アインズ(蒲生郡竜王町)の協力を得て、8月にクラウドファンディングを始めた。樋口さんは「クラウドファンディングの文章を考えるのが難しかったが、チラシを配って、受け取った人が支援してくれたことを知り、うれしかった」と話す。

 中学2年の担任の山口諒さんは「社会の第一線で活躍している大人との関わりの中で、相手のことを考える視点を身に付け、中学生だけの内輪で終わらず、精度を高めて取り組むことができる。少人数だからこそ、全学年そろって、思い切って挑戦できる。フィールドが違う人と関わり、大人の意見を聞いて、自分の意見を物おじせずに話せるようになった」と中学生の成長に感心する。

 「葛川・久多の自然ガチャ」は、湖西地域の道の駅に設置する予定。クラウドファンディングは9月10日まで。

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