琵琶湖で起こる自然現象について解説する企画展「琵琶湖の虹が映(ば)える理由(わけ)-湖の『なぜ』がわかる物理学-」が現在、琵琶湖博物館(草津市下物町)で開催されている。
琵琶湖岸近くにある架空の中学校「びわ湖中学校」の科学部顧問と生徒が研究結果をパネルで紹介するという設定で、琵琶湖に架かる虹と蜃気楼(しんきろう)、琵琶湖の深呼吸(全層循環)、湖水の環流、風、湖流と生物の関係などについて解説している。
「びわ湖中学校」科学部の生徒と、顧問の戸田先生、副顧問の大塚先生の架空のSNSでのやり取りから始まり、なぜ虹は丸く見えるのか、なぜ琵琶湖が「虹の名所」なのかなどを解明する。虹が丸く見える理由を分かりやすく展示するために、舞鶴工業高等専門学校(京都府舞鶴市)4年の山村天さんに依頼して模型を作成した。
2021年2月には、3年ぶりに全層循環「琵琶湖の深呼吸」が起こったことが話題になったが、企画展では深呼吸とは何かや深呼吸が生物にどう関わっているかなどをパネルや映像展示で説明している。
奈良県大和郡山市から来た男性は「プランクトンが沈みにくさと食われにくさを両立する形に進化したことを知り、興味深かった。プランクトンは浮いているのが当たり前だと思っていたが、沈まないために形を工夫しているのが面白いと思った」と話した。
展示に物理学の雰囲気を出す演出として、虹と蜃気楼のコーナーには光の屈折に関する「スネルの法則」の数式、湖上の風のコーナーには流体が流れる時の運動エネルギーと圧力との関係を示す「ベルヌイの法則」の数式など、各コーナーに関連のある数式を展示している。
展示では「顧問の戸田先生」として登場する琵琶湖博物館専門学芸員の戸田孝さんは「琵琶湖の環流の研究を長年してきたが、近年はどうやったら来館者にうまく伝わるかといった博物館の在り方についても研究している。『物理学』は難しいと思われているが、怖がらずに一歩入って、ゆっくり展示を読み、考えて、奥深い世界に触れてもらいたい。入り口として入りやすい『虹』を企画展のタイトルにした。虹をきっかけに琵琶湖の物理現象についても考えてもらえれば」と呼び掛ける。
開館時間は10時~17時(最終入館16時)。企画展の入場は無料だが、常設展示入館料が必要。常設展示入館料は大人=800円、高校生・大学生=450円、中学生以下無料。3月6日まで。