びわ湖トラスト(大津市浜大津)は現在、琵琶湖の自然観察などを通して地球科学を学ぶ「ジュニアドクター育成塾」5期生を募集している。
日本陸水学会第85回東京大会では、小中高生ポスター発表最優秀賞受賞した。
ジュニアドクター育成講座は、科学技術振興機構が全国に展開している小中学生向けのプログラム。研究への興味を深め、自主性、協調性、洞察力などを高め、将来、科学技術や理数系に関する仕事に就く子どもを増やすことを目的に2018(平成30)年に開始した。
対象は小学5年から中学3年の児童・生徒で、滋賀大学、京都大学、東レ研究所などの琵琶湖周辺にある研究機関から講師を招き、座学、船上講座、研究所訪問を体験する中で自身の研究テーマを探求し、年度末に研究発表をする。
2018(平成30)年に1期生として受講した石山高校3年の川井彩音さんは、外来種の植物プランクトン「ミクラステリアス・ハーディ」の研究をしている。川井さんは育成塾の前にびわ湖トラストが実施していた次世代科学者育成プログラムに参加し、滋賀県環境科学研究センターの一瀬論さんに琵琶湖で外来種のプランクトンが見つかったことを聞き、興味を持ったという。ミクラステリアス・ハーディは琵琶湖以外では確認されておらず、大型のプランクトンであることからミジンコに捕食されにくく、2016(平成28)年に琵琶湖で大発生した。川井さんは一瀬さんやびわ湖トラストの協力を得て、ミクラステリアス・ハーディの増殖がアユの漁獲量に及ぼす影響を調べることを目的に研究を始めた。
大きさの計測や分布、沈降速度などを調べ、培養してミクラステリアス・ハーディが増殖した要因を探り、国内外の学会で発表した。2018年にはSIL(国際理論応用陸水学会)でポスター発表をした。川井さんは「ジュニアドクター育成塾に参加したおかげで、船に乗ってプランクトンの採取をして、大学から貴重な計測機器を借りることができ、専門の先生に話を聞くことができた。自分の力では得られないような発表の場を設けてもらえたことに感謝している。中学3年で参加したSILでは中国に赴き、世界中の研究者と慣れない英語でコミュニケーションを取り、知らないことをたくさん聞くことができた」と話す。
びわ湖トラストの担当者は「ジュニアドクター育成塾は1年でプログラムを修了するが、個人研究を深めたい受講生には2年目以降のプログラムを設けている。川井さんのように高校生になっても研究を続け、育成塾の小中学生を指導してくれる生徒がいる。さまざまな経験を通して気付き、発見し、主体性を持って行動できる人になってほしい」と期待を寄せる。
1次募集は3月13日締め切りで、20日に適正テスト実施予定。定員は40人。受講無料。5月4日より開始予定。