上下が分かれた「二部式」の着物を着て参加する「湖布(こふ)ファッションショー」が5月29日、野洲文化小劇場(野洲市小篠原)で開催された。
着物を上下2部に仕立て直した「湖布セパきもの」を着た一般公募の40代から60代のモデル30人が舞台に立ち、着物と洋服を合わせたアレンジや帽子をかぶるなど思い思いのファッションを披露した。五十嵐恵子さんは聴導犬と一緒に舞台に上がり、手話をしながらコーディネートについて発表した。木村寛子さんは車いすで参加し、着物への思いを話した。
主催した湖布代表の金守千恵さんは着物学院に4年間通い、着付けを習得したが、「着物を着ることのハードルの高さを感じた」ことから、誰もが気軽に楽しめる上下に分かれた着物「湖布」を開発した。「戦時中から二部式の着物はあったが、上下を真っすぐにカットしているだけで、きれいに着るのが難しかった。裁断の方法に工夫をして、上はジャケット、下は巻きスカートのように気軽にきれいに着ることができる二部式の着物を作った」と振り返る。
2017(平成29)年4月から毎月第4日曜にレンタルスペース「ル・ラヴァージュ」(守山市浮気町)で湖布ギャラリーを開催し、二部式の着物の販売をしている。金守さんは「湖布の着物を購入した人が、上だけや下だけを着て、洋服や帽子と合わせてコーディネートを楽しんでいるのを見て、ファッションショーをしてみたら面白いのではないかと感じた」と今回のイベントを企画した。
「女性だけでなく家族で着物を楽しんでほしい」と、新商品、幼児用の着物「きものごっこ」と男女兼用の着物生地で作ったロングジャケット「NOFUZO(ノフゾー)」を発表した。
子どもが動き回っても着崩れない工夫を凝らした「きものごっこ」は、ふくさを製造販売する清原(守山市古高町)が布を提供し、福祉作業所「みみの里」が一部縫製を担当している。清原の社長、清原大晶さんは「社業を通じたSDGsを意識し始め、社内で使われずにストックされていた布の再利用と、福祉施設との連携を考えていた。3者連携事業としてきものごっこを立ち上げた」と話す。
新作発表会では、清原さんがNOFUZOのロングジャケットを羽織り、清原さんの次男、大雅君がきものごっこを着て舞台に上がった。
金守さんは「伝統を守ることは大切なことだが、多くの人に受け入れてもらえないと文化が途絶えてしまう。もっと気楽に着ることができる着物に形を変えて、日本の文化を受け継いでいきたい」と話す。