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直木賞作家今村翔吾さん滋賀県から「まつり旅」スタート 119日で全国299件訪問

ワゴン車で「まつり旅」に出発する今村翔吾さん

ワゴン車で「まつり旅」に出発する今村翔吾さん

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 第166回直木賞を受賞した今村翔吾さんが全国を回るキャンペーン「今村翔吾のまつり旅」が5月30日、守山市埋蔵文化財センター(守山市服部町)でスタートした。

小説家としてのスタート地点である埋蔵文化財センターでインタビューを受ける今村さん

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 今村さんは滋賀県大津市在住で、大津市坂本の石垣職人「穴太衆(あのうしゅう)」を描いた歴史小説「塞王(さいおう)の楯(たて)」で直木賞を受賞した。今村さんは受賞後の記者会見で「今年中に47都道府県の書店にお礼に回りたい」と宣言。全国の書店、学校、児童クラブなど299件を119日かけてワゴン車で回る「まつり旅」に出発した。

 今村さんは「学校や書店からの依頼は全部断らなかった。100日の予定だったが、100日も120日も同じ。最後までやろうと決めた。一番驚いたのは熊本の椎葉村。どこであろうと行こうと決めていた」と話す。

 学校の訪問は「ダンス講師をしていた時に子どもたちにもう一度夢を思い出させてもらった。今度は、夢はかなうという事例として、子どもや若者に返したい」と決めた。今回のまつり旅で何人の人に会えるかをカウントしているという今村さんは、「物語を紡ぐ上で、人とのつながりや縁がガソリン、エネルギーになる。どこかで自分のためのまつり旅でもある」と話す。

 出発式が開かれた埋蔵文化財センターは、今村さんが作家になると決めてから働き始めた場所。出発式の前の記念講演で、今村さんは「ここから作家として旅立ったので、岩崎所長にお願いしてここから始めることにした。家業のダンス教室しか知らなかった僕が、30歳で作家を目指すと決めて、世間を知らないことに不安があったが、埋文の皆さんが受け入れてくれて、社会人になった。ここでの時間があったからこそ、今みたいな作品を書くことができた」と話した。

 出発式の後は本のがんこ堂守山店でサイン会を開いた。守山市の井原裕子さんは「埋文で講演を聞き、今村さんを見送ってから追いかけて来た。『火喰鳥(ひくいどり)』の最初の一文を読んで一気に引き込まれた。講演会は面白くて笑っている間に終わった」と話した。

 その後は守山市立図書館でもりやま本活プロジェクト主催の「本と読書が好きになるトークショー」に出演。「塞王の楯」の映画化を望む声に今村さんが「僕の小説の映画化は予算がかかるといわれているが、実現したら皆さんもエキストラで、穴太衆を追い詰める民衆の役で出演してほしい。僕も出演する」と答えると、会場からは笑いが起こった。

 中学2年生の林田峻太さんは「小学5年の時に『じんかん』を読み、ファンになった。今村さんの本は全部読んでいる。直木賞発表の日は学校に行っている間もずっと気になっていて、受賞を知ったときはうれしくて、自分のことのように喜んだ」と話す。林田さんの通う中学は手続きのミスでまつり旅の訪問校とならなかったが、今村さんは林田さんに「来年に必ず訪問する」と約束した。

 今村さんは118泊119日、一度も自宅に帰らず、移動中も執筆を続けながら47都道府県を回り、今村さんの小説「羽州ぼろ鳶(とび)組」の主人公の出身地、山形県新庄市でゴールする。

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