滋賀県のチョウの分布や標本を展示する「チョウ展-近江から広がるチョウの世界」が7月16日から、琵琶湖博物館(草津市下物町)企画展示室で開かれている。
琵琶湖博物館でチョウがメインとなる企画展を開催するのは初めて。チョウの形態や生態を紹介するコーナーでは、実物の約30倍のオオムラサキの巨大模型を展示。巨大イモムシベンチでは、座って写真を撮影することもできる。
2017(平成29)年6月に彦根市のチョウの収集家布藤美之さんが同博物館に寄贈した2万5786点のチョウの標本のうち、1万1000点を展示。「布藤コレクション」の中には、滋賀県レッドデータブック2020年版で絶滅危惧種に選定されているギフチョウ、絶滅危機増大種のウラジロミドリシジミ、希少種のキバネセセリなど、現在では少なくなった1970年代の滋賀県産の標本も含まれている。
学芸員の八尋克郎さんは「5年かけて寄贈された標本の整理、登録が終わった。博物館の資料整理活動の重要性も紹介しているので、活動について知ってもらえれば」と話す。
2003(平成15)年から2007(平成19)年にかけて、滋賀むしの会に所属する県民7人と同博物館の学芸員2人で構成する滋賀県チョウ類分布研究会が県内のチョウ類の分布を共同研究し、分布域を拡大している種が7種、縮小している種が10種いることが判明した。展示では、県内のチョウの分布の移り変わりも紹介している。
今回の展示では、県内に生息する128種のうち、125種の標本を展示している。会場では、県内に生息する128種のチョウの中から「推しチョウ」に投票する「B.S.P(バタフライ・シガプリフェクチャー)総選挙」も実施する。
八尋さんは「チョウの不思議な形態や生態を知ってもらいたい。ゴルフ場の建設の影響によって減少しているオオムラサキや、温暖化によって増加しているナガサキアゲハなど、自然環境の変化によるチョウの移り変わりについても知ってもらえれば」と呼びかける。
開館時間は9時30分~17時。企画展観覧料は大人=300円、高校生・大学生=240円、小・中学生=150円。別途常設展示入館料(大人=800円、高校生・大学生=450円)が必要。11月20日まで。