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滋賀県立美術館で塔本シスコ展 過去最大の回顧展「私も大きな絵ば描きたかった」

塔本シスコ《エイサー水口》2001年/キャンバス、油彩/滋賀県立美術館蔵

塔本シスコ《エイサー水口》2001年/キャンバス、油彩/滋賀県立美術館蔵

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 企画展「塔本シスコ展 シスコ・パラダイス かかずにはいられない!人生絵日記」が現在、滋賀県立美術館(大津市瀬田南大萱町)で開かれている。

会場入口風景

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 53歳から91歳で亡くなるまでの約40年間にわたり制作を続けた塔本シスコさんの作品約230点を紹介する過去最大規模の回顧展。身近な動植物との関わりを通して、鮮やかな色彩で独自の世界を表現したシスコさんの作品をテーマごとにまとめて展示している。2021年9月に世田谷美術館から始まり、熊本市現代美術館、岐阜県美術館と巡回し、滋賀が最終会場となる。これまで各館で展示した作品に加え、他館には出展されなかった「ヒマワリとアマガエル」など5点を追加展示する。

 塔本シスコさんは1913(大正2)年熊本県生まれ。養父がサンフランシスコ行きの夢を託しシスコと命名した。53歳の時、長男の賢一さんが残した作品の油絵具を包丁で削り落とした上に自分の作品を描き始めた。帰省した賢一さんに、シスコさんは「私も大きな絵ば描きたかった」と秘めていた強い思いを伝えたという。「第1章 私も大きな絵ば描きたかった」では、その頃に描かれた作品「秋の庭」や「夕食後」を展示する。

 着物姿のシスコさんと姉妹が二人の孫と一緒に遊ぶ「古里の家(シスコ、ミドリ、シユクコ、ミア、ケンサク)」のように、異なる時代を一つの画面の中で表した作品なども展示。時間や空間を自在に超えたイメージを絵画の中で構築するシスコさんの表現の自由さを体感することができるという。

 シスコさんの描きたいという衝動は平面に収まらず、そうめんの木箱や酒の空き瓶、しゃもじにまで絵を描いたという。「第7章 シスコは絵をかく事シかデキナイのデ困つた物です」では立体に描かれた作品を展示する。

 学芸員の三宅敦大さんは「生き物や風景の観察や絵を描くことが好きだったものの美術教育は受けていないシスコさんが自由に表現したパワフルな作品・世界を体験することで、表現や美術は、特定の人たちのものではなく、誰もが触れることのできるものであることを感じ、私たちが平等に持つ『表現することの自由さ』について考えてもらえたら」と話す。

 開館時間は9時30分~17時。月曜休館(祝日の場合は開館、翌日休館)、観覧料は、大人=1,200円、高校・大学生800円、小・中学生600円。9月4日まで。

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