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学びの場は琵琶湖「ジュニアドクター育成塾」 海外学会で発表する中学生も

琵琶湖の船上講座に参加した森本さん

琵琶湖の船上講座に参加した森本さん

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 びわ湖トラスト(大津市浜大津)が現在、琵琶湖の自然観察などを通して地球科学を学ぶ「ジュニアドクター育成塾」6期生を募集している。

森本さんはジュニアドクターとして研究を続ける

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 ジュニアドクター育成塾は、科学技術振興機構が全国に展開している小中学生向けのプログラム。びわ湖トラストでは小学5年から中学3年の児童・生徒を対象に、2018(平成30)年から琵琶湖を研究の場として活動している。

 滋賀大学、京都大学などの琵琶湖周辺にある研究機関から講師を招き、琵琶湖の魚やプランクトン、環境DNA、昆虫などについて学ぶほか、実験調査船「はっけん号」に乗船し、琵琶湖の水質調査や生物の調査を行っている。参加者は、座学、船上講座、研究所訪問を体験する中で自身の研究テーマを探求し、年度末に研究発表をする。

 1期生で、育成塾卒業後もジュニアドクターとして研究を続けている中学3年の森本莉久さんは琵琶湖のミジンコと全循環について研究し、2022年8月にドイツで行われた第36回国際陸水学会(SIL)に参加し、研究発表した。

 森本さんは「生物に興味があり、育成塾に応募した。琵琶湖の全循環について学び、全循環が起こらないことにより湖底が低酸素状態になり、湖底のミジンコに影響があるのではないかと考えて研究を始めた。SILでは研究レベルが高くて圧倒されたが、大人に交じって学会で発表ができたのは貴重な体験だった」と振り返る。

 育成塾で印象に残っている講義は「医療と倫理について」だという森本さん。びわ湖トラストの多和田礼華さんは「年に1度、動物実験の倫理や論文の盗用をしないなどの科学者としての倫理について講義している。科学者になりたい子どもたちにとって大事なことだと考えている」と話す。

 育成塾の参加者は、水質やソーラーボート、マイクロプラスチック、湖底遺跡、昆虫などそれぞれが興味のある分野について研究を続けている。多和田さんは「小学生・中学生は好奇心が旺盛で輝いている時期。好奇心を持って学び始め、研究結果をまとめ、工夫をしている子どもたちの成長を親のような気持ちで見守っている」と話す。

 「多くの人の前で発表し、意見を伝えることはいい経験になる。科学が好きな子ども、生物や算数に興味のある子どもが集まっているので学校とは違う楽しさがある。好きなことを見つけて探求するきっかけになれば」と呼びかける。

 1次募集は3月26日締め切りで、4月2日に適正テストを行う予定。定員は40人。受講無料。

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