ビワコオオナマズ水槽破損により閉鎖していた琵琶湖博物館(草津市下物町)水族展示室の公開が5月9日、部分的に再開された。
2月10日にビワコオオナマズを展示していた大型水槽が破損し、約100トンの水が流出したことから、水族展示室を閉鎖していた。9日から、安全が確認されたエリアの公開を再開した。
再開したのは、ビワコオオナマズ水槽とトンネル水槽、コアユ水槽を除くエリア。撤去したビワコオオナマズ水槽は破損の原因を調査している。学芸員の鈴木隆仁さんは「同じ場所での展示を考えているが、ビワコオオナマズ水槽は、水槽を先に作ってから建物を建築したので、今後、どのように再建できるか検討中」と話す。トンネル水槽は現在、水を抜いて検査している。
各水槽で展示していた生き物は館内の別の水槽やバックヤードの水槽で一時的に飼育。バイカル湖の魚と同じ水槽で琵琶湖の固有種ビワマスが泳ぐなど、普段は見られない展示方法となっている。
破損した大型水槽で飼育していたビワコオオナマズは水と共に流れ出て、6時間後にがれきの中から発見された。頭部に傷を負っていたが、1カ月で完治。現在は大型水槽の手前の水槽で展示している。
現在、9月3日までの期間限定で11人の飼育員による「推しの生き物」の展示を水族企画展示室で実施している。イワトコナマズの黄変個体「ベンテンナマズ」、サワガニなどへの「飼育員の愛」を書いたパネルと共に生き物を展示。ビワコオオナマズの稚魚も展示している。鈴木さんは「破損した時に勢いよく流れ出た水が稚魚の水槽に直撃していたら、水槽が粉々になったと思うが、直撃しなかった。腰まで漬かるほど浸水したが、水槽の下ぎりぎりで止まり、水槽ごと流されることもなかった。奇跡的に無傷で救出された稚魚を見てもらいたい」と話す。
新型コロナウイルスの影響で休止していた飼育員による餌やり解説も3年ぶりに再開。平日のみ、バイカルアザラシ、チョウザメなどが餌を食べるところを見学できる。
鈴木さんは「水族展示室以外の展示は続けていたが、子どもたちからの『魚が見たい』という声が多く、ようやく再開できてよかった。飼育員の『推し』展示は、さまざまな種類の生き物を一度に見ることができるので、楽しんでもらえれば」と呼びかける。
開館時間は9時30分~17時(最終入館は16時)。月曜休館。入館料は、大人=800円、高校生・大学生=450円、中学生以下無料。